今年度は、グローバルなサプライチェーンシステムにおいて、為替変動の変動を考慮した海外生産比率に関する研究を行った。代表例として自動車メーカーを取り上げ、為替変動が輸出企業の利益率に与える影響を分析し、海外生産を進めた企業は、営業利益率において為替変動を受けにくいことを相関分析で明らかにした。 次に、経済性分析モデルを考え,為替レートや変動費の連動性が損益に与える影響を評価した。評価結果より、生産拠点のグローバル展開が必ずしも企業収益にとってメリットばかりではなく、むしろ今後円安のリスクを負い、増収のチャンスを失うことを数値例等で示した。 さらに、ジャストインタイム生産の基礎となる平準化に着目し、需要の事前情報がある程度利用可能な場合における平準化手順を提案し、シミュレーションを使った数値実験によって、MRP方式と提案手法との性能比較を行った。その際、かんばん方式との性能比較、ならびに需要の事前情報の効果についても議論した。数値実験の結果,事前情報を利用して需要量を平準化し指示する平準化指示方式の一部は,MRPに比べて総費用を半減できる場合もあることを示した。 また、サプライチェーンにおける多品種の配送計画問題に対して、近似DPを応用し、計算性能の評価を行った。 さらに、製品の回収、分解・再生産を考慮したサプライチェンとして、閉ループ型生産システムをモデル化し、幾つかの生産方策を取り上げ、数値実験により、時間平均在庫費用の総利益を最大化する発注政策等についての検討を行った。
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