研究課題/領域番号 |
24510189
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
佐藤 毅 神戸学院大学, 共通教育センター, 准教授 (30304405)
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研究分担者 |
松見 吉晴 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00135667)
太田 隆夫 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (70233129)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 海岸保全施設 / 累積損傷 / 維持管理問題 / 最適保全方策 |
研究実績の概要 |
近年,自然災害による社会基盤施設の被災が増加傾向にある.これからの社会基盤施設の計画,設計には災害のリスクコントロールをも視野に入れた維持管理問題が注目されている.海岸構造物の保全(補修)問題は,施設の設計フェーズにおいてライフサイクルコスト(LCC)を最小化する問題として議論されることが多い。 本研究では、施設の物理・性能面の劣化過程を把握し,施設破壊への信頼性評価を基づく施設の維持管理問題に対し、数理モデル、および数値実験による維持管理費用最小化を目的とする最適維持管理方策について考察を行った。 施設劣化については不確定性がともなうため、(1)異常波浪(衝撃)による損傷摩耗が累積され、施設破壊に至る累積損傷過程、(2)コンクリート等の劣化表現にも用いられるガンマ過程、を基軸に確率過程としてとらえる。また、それら確率過程上において施設の要求性能を維持すべく施設保全を実施する必要があることより、予防的に保全を実施する機会を様々な視点から設定し、維持管理費用最小化問題として議論を行った。例えば、施設運用開始後の経過年数を決定変数としたいわゆる年齢保全問題、異常波浪等の通常環境でない事象発生回数を保全実施機会ととらえる離散型保全問題、さらに劣化の程度に注目した制御限界問題などが挙げられる。 上記問題を定式化し、維持管理費用最小化を目的とした最適保全方策を解析的に導出することにより、予防保全実施をすべき時期、境界条件が明らかになった。また、解析的な検討が難しい場合においても、数値実験による検討により、予防保全を含めた保全実施の有効性についての検討が可能である。 以上より、施設劣化過程の不確実性を考慮した維持管理問題に対し、保全実施に関する基準を提示することができるのではないかと考えている。
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