研究課題/領域番号 |
24510190
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
片桐 英樹 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40325147)
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研究分担者 |
加藤 浩介 広島工業大学, 情報学部, 教授 (00263731)
宇野 剛史 徳島大学, 大学院ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部(総科), 准教授 (50363023)
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キーワード | ファジィ / 確率 / ネットワーク / 最適化 |
研究概要 |
本研究では,専門家・熟練者の知識に含まれる曖昧さ(ファジィ)と需要などの確率的不確実性が存在する環境における生産計画や物流計画をネットワーク計画問題としてモデル化し,複数の競合目的を同時に考慮したバランスの良い解を実用時間内に導出するための基礎的枠組みを構築することを目的とする. 本年度は,前年度の成果を基にして,可能性測度に関する分散最小化やcVaR (conditional Value at Risk)モデルの提案を行い,複数の相競合する目的関数を含む場合に対して意思決定者の選好を反映した満足解を対話を通して導出するアルゴリズムを提案した. また,応用面を強く意識して,離散型確率変数の拡張とみなすことができる離散型ファジィランダム変数を定義し,目的関数の係数が離散型ファジィランダム変数で表される場合について可能性測度及び必然性測度に基づく新しい意思決定モデルを提案した.特にファジィ目標やファジィランダム変数を特製づけるメンバシップ関数が区分的線形関数で表される場合についても考察し,提案モデルが生産・物流ネットワーク最適化で幅広く応用ができる可能性を示し,国際会議で研究発表を行った. さらに,ネットワーク最適化問題に関しては,ネットワーク上での施設配置について需要量などのパラメータがファジィランダム変数で表される問題に対するモデルと解法を提案した.現実の配送計画において重要となる先行順序制約を考慮した最短巡回路問題に対する効率的アルゴリズムについても考察している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概ね予定通りに進んでいる.確率計画法は日本では十分に研究が進んでいないため,本年度は早い段階で海外の一流研究者との交流やディスカッションの場をもつ必要があると考えていた.2013年6月に確率計画法の第一人者であるシカゴ大学のBirge教授らとの意見交換の場をもつことができたことがきっかけで,本年度の研究を進展させることができたと考えている.
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今後の研究の推進方策 |
前年度の状況を考慮すると,確率的不確実性と曖昧性を同時に考慮した新しいモデル化のためには確率計画法に対する深い理解と十分な知識,さらに最新の研究成果を取り入れていくことが益々重要と考える.前述のとおり,確率計画法に関する研究は日本では十分に進んでいないため,本研究での成果をより高いレベルにするためにもシカゴ大学のBirge教授らと密に意見交換の場をもつことで,さらに研究を発展させていくことを考える.
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次年度の研究費の使用計画 |
意思決定モデルの構築については当初の想定よりも興味深い成果が得られたが,時間を要した面もあり,一部の数値実験等は次年度で行うことになった.また,より良い成果を得るために国内よりも寧ろ海外の研究機関における研究者との研究交流やディスカッションが必要な状況である. シカゴ大学Birge教授らや他の教員らとの研究交流やディスカッションに必要な旅費や数値実験を行うための計算機の購入費,研究成果の発表や研究打ち合わせのための旅費に使用する計画である.
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