研究課題/領域番号 |
24510199
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研究機関 | 千葉工業大学 |
研究代表者 |
富井 規雄 千葉工業大学, 情報科学部, 教授 (50426029)
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キーワード | データマイニング / ビッグデータ / 鉄道 / 遅延 / 列車運行実績 / モンテカルロシミュレーション |
研究概要 |
自動改札機から取得される日々の旅客流動状況データと運行管理システムから取得される列車運行実績データを用いて,旅客流動と列車運行の相互作用についての各種の分析を行なうことのできるシステムを開発した。これにより,例えば,小規模の列車の遅れによって乗換客が多くなったために乗換先の列車が遅延するなどの相互関係を明らかにすることが可能になった。 また,信号システムから得られる軌道回路の落下・こう上時刻のデータを列車ダイヤ図状に可視化するプログラムを作成した。列車が稠密に運転されている路線では,先行列車の発車が遅れると,後続列車は,駅の手前の線路上で停止する(機外停止)。これにより,遅延が後続列車に影響する。従来は,駅の着・発のみの時刻のデータしか得られなかったために,この現象をつぶさに把握することは困難であった。本研究では,駅の間に存在する軌道回路から得たデータを可視化する方法を考案し,駅間の列車の動きを直感的に把握する手法を開発した。これから得た結果によって列車間の遅延伝播のメカニズムを明らかにし,列車ダイヤの頑健性向上の手がかりとする。 さらに,従来の駅の着・発時刻のみを対象とする列車運行シミュレーションに対して,軌道回路の通過時刻までをシミュレーション対象とするシミュレーション方式を新たに開発した。この方式は,従来の最長経路法にもとづく方式を軌道回路レベルに拡張したもので,列車の駅間の動きを詳細に模擬することが可能である。これをもとに列車ダイヤの頑健性向上のアルゴリズムを構築する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の遂行には,鉄道会社からの列車運行実績データの提供が不可欠であるが,現時点まで円滑な協力が得られ,継続して,列車運行実績に関するデータの提供が行なわれている。 また,本研究の成果への期待も高い。 さらに,これまでの中間的な成果については,すでに学会等で発表を行なっている。 このような事情から,本研究は,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
列車運行と旅客流動の関連の分析,駅の間を含む詳細な列車運行状況の分析,駅間を含めた詳細な列車運行を模擬可能なシミュレータなど,基本的なツールはほぼ完成することができた。 今後は,現状の分析から列車ダイヤの頑健性を損なっている箇所を見いだすアルゴリズム,それを修正するアルゴリズム,修正した結果の妥当性を評価するアルゴリズムに関する研究を行なう。
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次年度の研究費の使用計画 |
旅費の経費削減を行なったため(当初2泊の予定を1泊とした)。 消耗品に充当する。
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