列車の運行実績データ(毎日の全ての列車の全ての駅の着時刻と発時刻を含む)を入力データとして,データマイニングで用いられる相関ルール(association rule)のアルゴリズムを適用して,遅延対策の有効性を評価するシステムを構築した。これは,ある遅延とある遅延が共に発生しているかどうかに着目して,遅延間の因果関係の発見を試みる。本システムを,遅延対策がとられてその対策がすでに有効であると実証されている路線に適用し,本システムを用いれば,遅延対策が有効であったかどうかの評価がより簡便に実行可能であることを示した。 さらに,駅間での詳細な列車の挙動を明らかにするために,日々の全軌道回路の落下時刻・こう上時刻を含むデータ(軌道回路通過データ)を入力として,決定木のアルゴリズムを適用して,先行列車との間隔を短縮できている列車とそうでない列車の駅間の運転方法の差異を明らかにするシステムを構築した。現実のデータにこのシステムを適用し,その結果,駅間のある特定の軌道回路に対する走行時分の差(緩慢に走行するか,迅速に走行するか)が結果に大きな影響を与えていると判断できるという結果を得るなど,本システムの有効性を確認することができた。
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