研究課題/領域番号 |
24510200
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
今井 潤一 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (10293078)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ファイナンス / シミュレーション |
研究概要 |
平成24年度計画では,計画全体の中で主に(A)数値計算技術の開発,(B)定量的リスク管理へ応用を中心に取り組むことになっていた.研究計画(A)の(3)「レヴィ測度が明示的に表現できる場合に,逆レヴィ測度法を数値的に実行することで,乱数を発生する方法の提案の完成」に関しては,予定通りJournal of Computational and Applied Mathematicsに"Numerical Inverse Le'vy Measure Method for Infinite Shot Noise Series Representation"の掲載が決定した.また,関連する論文として,ジャフィー・ジャーナル『市場構造分析と新たな資産運用手法』に「Time-changed Le'vy過程の下でのアメリカンオプションの評価」の掲載された. 研究計画(A)の(4)「特性関数からフーリエの逆変換を利用することで,直接乱数を発生させる効率的手法を開発する方法の提案」に関しては,working paper "Comparison of random number generation via Fourier transform" がまもなく完成し、投稿する予定である. 一方,研究計画(B) に関しての研究として,Transactions of the Operations Research Society of Japan誌に「実質次元減少法によるQMCを用いたポートフォリオのリスク指標の推定」の掲載が決定されている.その他にも,いくつかの研究論文が現在査読中である. 口頭報告に関しては,資料にあるとおり計7件の報告を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予想外に計算時間が必要であることが判明したり,計算の結果が予想外であるなど,いくつかの憂慮点はあるものの,総じて計画通りに進んでいると考えられる. 研究計画の4つの具体的な項目のうち,『(A)数値計算技術の開発』については,おおむね計画通りの技術を開発できていると判断している.これにより,今後のシミュレーションに関しては,必要となるほとんど全ての確率過程に関してのシミュレーションが可能となった. 研究改革『(B)定量的リスク管理へ応用』についても,いくつかの研究成果と共に解決すべき問題点が明らかになっている.現在これらの技術的な解決方法を検討中である.
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は,研究計画の中の具体的な研究計画『(A)数値計算技術の開発』,『(B)定量的リスク管理への応用』は,成果を論文として投稿しており,それらの完成を目指す.また,研究計画『(C) MC, QMC による推定と最適化』については,解決すべき課題が非常に明確になってきた.金融派生商品の持つペイオフの非線形性と,連続時間モデルが大規模変数の最適化問題の解決を困難としている.昨年度より,この問題に関してはいくつかのアプローチによる解決法を探索しており,今年度も継続して行う.それらの解決方法の探索,実装が今年度の中心的課題になると考えている. 一方の,研究計画『(D)リアルオプションの定量分析』に関しては,昨年度に行ったセミナー,ワークショップでの報告とその後の討論により,いくつかの実務的課題が分かっており,今年度,来年度に向けて解決方法を探っていく計画である. 加えて現在,研究計画(A)に関連する研究論文が3件,研究計画(B)に関する研究論文が3件,研究計画(C)に関連する研究が1件が査読過程に入っており,まもなく戻ってくるそれらの論文の改訂作業にも十分に時間を費やす必要があると考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度においては,3件の国際学会での報告を予定している.昨年度に引き続き7月に開催される17th International Congress on Insurance:Mathematics and Economics(IME2012),7月末に開催される17th Annual International Conference of Real Options:Theory Meets Practice, そして12月に開催されるQuatitative Methods in Finance Conferenceである.加えて,University ofWaterlooのTan教授との研究打ち合わせを計画しており,今年度最も多く研究費として支出が予定されるのはこれらの旅費であるとした計画を立てている. その他の研究費支出としては,数値計算ソフトウェアの購入,更新,データベースの購入などが予定されている.
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