本研究のテーマは、経営のおける戦略的状況下での商品設定・サービス提供方策の提案である。本年度は、以下の4点において研究が進んだ。 一つ目は、「戦略的顧客に対する動的価格設定:少量生産方式の場合」である。ディジタル商品について動的価格設定の分析は前年度までに分析結果を得ている。商品の性質によって、最適な動的価格設定のありようがいかに違うかを調べるために、通常の商品(非ディジタル商品)の場合を分析することは不可欠である。今年度は、この方向での研究が進んでおり、近く研究結果を投稿する予定である。本研究は、経営科学・オペレーションズリサーチ・ミクロ経済学の多分野と関連しており、結果は数学的・理論的ではあるが、多くの研究者の注目を集めるものとなると考えている。なお、本研究は、米国の研究者との共同研究である。 二つ目は、「優先度設定による混雑緩和の問題」であり、前年度から継続的に研究中のものである。数値実験と定性的解析によって得られた結果を、国際学会で発表した。 三つ目の「競合他社へのライセンス供与」の問題においては、二部価格方式の最適ライセンス契約の研究を前年度に成功裏に終了したが、これと並行して行ってきた固定費・ロイヤリティライセンス方式の最適ライセンス契約の研究を投稿した。 最後に、本研究と密接な関係がある「レベニューマネジメント」分野のサーベイ論文を、書籍として分担執筆した。
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