研究課題/領域番号 |
24510206
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
翁 嘉華 早稲田大学, 理工学術院, 助教 (40367040)
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キーワード | 受注設計生産 / 生産座席 / 製品機能仕様項目 / 用途仕様項目 / 受注仕様確定 |
研究概要 |
2013年度は、対象の受注設計生産に適した生産座席システムの基本設計をしました。従来では、一つの座席には一つの製品品種しか対応できないのに対して、本研究は、対応可能な膨大な製品品種群をグループ(製品機能仕様項目・値の組み合わせの視点で作成)に分け、グループ単位で対応する生産座席を設定する方法(即ち、ある生産座席は指定されたグループ内のどの製品品種にも対応できること)を提案しました。数値実験により従来の方式より高い期待利益を得られることを確認しました。更に,提案法の効果を,対象製品群の部品共通率と需要変動という2つの生産環境で考察し,提案法には有効範囲が存在することを明確にしました。この生産座席システムの基本設計に関する研究成果を日本生産管理学会に投稿し、同学会誌の2014年3月号に掲載されました。 また、昨年度開発した、顧客要求仕様(以下用途仕様)や製品機能仕様、及びそれらの仕様間の関係を示した製品機能構造モデルをベースに、更に以下2つの処理機構を追加開発しました。それは、①企業側が予め設定されている(既に基本設計が完了した)製品機能仕様では、対応できない用途仕様項目値の検出及び修正ガイドシステム ②実現できる用途仕様値に対して、企業側が設定している基準仕様値との乖離が最小となるような製品仕様値の決定方法です。これらの途中成果については、国際学会(2013 Asian Conference of Management Science & Applications)にて口頭発表を行いました。また、最終成果は日本国内学会(日本経営工学会春季大会 2014年5月に開催)にて発表する予定です。更に、追加開発したこの2つの処理機構について、製品機能構造モデルの一環として纏めて、日本経営工学会論文誌に投稿中です。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初計画した生産座席システムの基本設計以外に、研究実績にも記述しました通り、顧客要求である用途仕様値の修正が容易に行えるようにガイドシステムを開発しました。また、企業が設定した基準仕様値と乖離の少ない製品仕様値決定アルゴリズムも開発しました。 今回、開発した①のシステムにより、従来では実現できない個々の用途仕様項目に対して、開発した制約データベースを参照に、値の変更が可能な範囲を示すことが可能となり、顧客が容易に用途仕様値を変更できるようになります。このシステムを顧客との引き合い時に用いると、製品仕様値の早期確定や受注後の仕様変更の減少に効果が生じます。また、どうしても用途仕様値を変更できない・したくない場合は、個別受注設計生産となり、現在の生産標準日程より更なる日数と費用が掛かることを顧客に明示することにより、顧客の納得度を高めるとともに、コストや納期の過小見積もりを防ぐことに繋がります。開発した②については、顧客の要求に満たす製品仕様値であれば、なるべくその値を受注側企業が予め設定した基準仕様値を選択するように誘導することで、高い生産効率で顧客に製品を提供できることが可能となります。 以上の理由より、当初の計画を上回る成果を出せたと言えます。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、部品手配の視点で、製品機能仕様を構成する機能要素仕様を定義し、各機能要素仕様項目と製品機能仕様項目との関係や、部品の属性を表す部品属性項目との関係を明確にすることを課題とします。それに加え、引き合い段階で決定した製品機能仕様値と要求納期に満たす部品の検索・決定方法を提案する予定です。更に、受注企業側が決定した製品機能仕様項目毎の値の範囲に対して在庫と部品費用を考慮した、仕込む部品の種類を決定する方法についても検討する予定です。
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次年度の研究費の使用計画 |
ソフト(Acrobat XI)の購入を予定していましたが、新しいバージョンを待っていたため、年度を越えてしまいました。 今年度未使用分を使って上記ソフト(Acrobat XI)を購入します。
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