研究課題/領域番号 |
24510213
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻村 元男 同志社大学, 商学部, 准教授 (40335328)
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キーワード | リアルオプション / 汚染物質削減 / 特異確率制御 / 確率インパルス制御 / 曖昧さ |
研究概要 |
本研究課題は,リアルオプション評価法を用いて汚染物質削減投資プロジェクトの評価モデルを開発し,現実の問題に応用することである。 本年度は,前年度から継続中である2つの汚染物質削減投資プロジェクトについての研究に加え,環境政策において重要な意味を持つ将来の不確実性について,これまでの研究とは異なる扱い方をした研究を実施した。 先ず,前年度から継続して行った2つの汚染物質削減投資プロジェクトの1つは,排煙脱硫装置などの比較的小型の汚染物質削減装置への投資プロジェクトである。この投資プロジェクトの特徴は,1度のみならず何度でも汚染物質削減装置への投資が必要な場合について考察していることである。また,比較的小型の投資プロジェクトについて考察しており,投資プロジェクトの実施には装置の購入費用のみを考慮している。このような企業のプロジェクトへの投資問題を特異確率制御問題として定式化して問題を解き,最適な汚染物質削減投資戦略を求め,いくつかの重要なパラメータについて比較静学を充実させ,実際の企業の意思決定への示唆を明らかとした。 2つめのプロジェクトは,比較的大規模な汚染物質削減投資プロジェクトについて考察した。大規模な設備を措定しており,設備の購入費用に加え,固定コストも考慮した。このプロジェクトの大きな特徴は,汚染物質のフローとストックの両方を削減する場合について考察していることである。このような投資問題を絶対連続制御問題と確率インパルス制御問題の混合問題として定式化し,最適な汚染物質削減戦略を示した。 最後に,これまでの研究では,将来の不確実性については,その確率分布が一意に定まる場合について分析を行ってきたが,本年度は,複数の確率分布を考慮し,そのような曖昧さ下での投資プロジェクトの分析を行った。消費者と企業からなる経済を考え,2期間モデルを考察し,最適な投資戦略を求めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画に従って研究を進めており,その結果である研究成果は,まだ学術論文として公刊されていないが,最初の汚染物質削減投資プロジェクトに関する論文は,学内の紀要で公刊待ちである。また,最後の曖昧さの下での投資プロジェクトの研究は,数理解析研究所の講究録として公刊待ちである。これらの研究を,国際会議や研究集会で積極的に発表し,国内外の研究者と意見交換することで,今後の研究の進展を促すように努めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度については,研究計画に従い以下のように研究を進めていく。先ず,2番目の汚染物質削減プロジェクトについては,最適な投資戦略を数値的に求め,いくつかの重要なパラメータについて比較静学を実施し,実際の投資プロジェクトへの示唆を明らかにする。さらに拡張として,技術進歩の影響も考慮した最適な投資戦略についても考察し,現実の政策の意思決定への示唆を明らかにする。 次に,将来の不確実性について,その確率分布が一意に定まらないような曖昧な下での投資プロジェクトの分析を,汚染物質を削減する投資プロジェクトに拡張し,最適な投資戦略を求める。 以上の研究を推進するために,国際会議・学会や研究会に積極的に参加し,研究報告すると共に,他の研究者と意見交換をする。これらを通じて研究を深め,学術的あるいは社会的に,より貢献できる研究として推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
2014年4月から同志社大学とAmherst Collegeとの間で結ばれている教員交換派遣制度で,Amherst Collegeに派遣されることになった。Amherst Collegeに着任時に,新たに研究環境を整える必要があり,そのために少しでも役立てられるように,研究費の使用を調整した。 Amherst Collegeに着任時に,新たに研究環境を整えるために,パソコンやプリンターなどを購入する計画である。
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