研究実績の概要 |
最終年度である平成26年度は次の3項目の研究を進めた.具体的には,(1)作業類似性を考慮する混流生産ラインの工程設計法,(2)作業を容易にするための作業環境・作業順序決定法, (3)QFD(Quality Function Deployment)に基づく多種情報の連携データベース・システムの開発を行った. (1)では,複数の類似製品を混流生産させるための工程設計について多目的問題として扱い,数理モデルの構築と多目的遺伝的アルゴリズムの開発を行った.異なる製品を同一ラインで製造させるため,作業の類似性をe-BOM(Engineering-Bill of Materials)や作業先行順位図から評価する方法を提案した.工程設計では工程内最大作業時間(サイクルタイム)と工程内の作業時間の最大標準偏差の同時最小化を目的とすることで,作業時間の変動を抑制しながら生産性向上を実現する工程設計法を開発した.この工程設計法により,作業の容易性を類似作業の視点から評価する方法と工程設計により作業順序を決定する方法を提案した. (2)では,手作業による組み立て作業を対象に(a)作業環境,(b)作業指示,(c)作業順序の視点から作業設計法を検討した.(a)では部品供給法を,(b)ではデジタルマニュアルによる作業指示の提示法について,作業実験を通して,作業を容易にする仕組みを検討した.(c)では作業困難さを定量化し,作業困難さの最小化を目的とする数理モデルを構築した.これにより,作業を容易にする部品取り付け順序を決定する方法を提案できた. (3)では,QFDに基づく機能のレベル化と部品・部品構造を分岐構造により関連付けることで,機能と部品・部品構造を相互参照し,検索する情報システムを開発した.このシステムにより,品質や評価の高い既存製品から,特徴的な部品・部品構造を抽出し,新製品の設計に利用する仕組みを開発した.
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