研究課題/領域番号 |
24510216
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研究機関 | サレジオ工業高等専門学校 |
研究代表者 |
島川 陽一 サレジオ工業高等専門学校, その他部局等, 教授 (10446239)
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キーワード | 交通工学 |
研究概要 |
本研究の目的はタイ王国バンコク都市圏を対象に自動車交通に起因する環境汚染物質の排出量を推定するために地域ごとの交通量および交通特性を推定する方法を開発することである。研究実施計画どおり平成25年度はIKONOS衛星画像を入手し道路上を走行する車両の台数を推定する方法の検討を実施した。一般的に提供されている画像処理技術を用いてバンコク市街中心部の衛星画像から道路上の車両の抽出を試みた。画像処理分野では衛星画像からの車両の抽出は現在も盛んに研究されているテーマであり、一般的に利用可能な画像処理ソフトを利用した抽出の精度は必ずしも良くなかった。(しかし、地理情報システム、特にリモートセンシング技術の観点からはどの程度の抽出が可能かの知見を整理しておくことは重要であろう。)これに対して本研究では画像処理技術の高性能化を図るのではなく、誤認識データを含む車両を位置座標など、他の空間情報を利用して地理情報システム上で高精度化する方法を検討・試行した。ここから得られる成果を統計的方法を用いて車種の構成比を特定する方法につなげていきたいと考えている。 車齢の推定方法の検討は計画段階では中古車輸出入統計を利用する予定であったが、タイでは(自国自動車産業の振興のため)中古車の輸入が法律的に禁止されたことから同データを使用した推定にあまり意味がなくなった。そこでこれについては新車の生産台数およびタイ国内での発売台数データ(またはそれを推定することが可能なデータ)を調査し入手することから推定することにした。以上について検討してきたが25年度はタイの政情不安のため訪問による調査の実施を見合わせたことから若干の遅れが生じている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究はタイの政情が不安定であることを考慮し、タイ国内で行う予定だった調査は政情が回復し安全が確保されたのちに行うこととし、日本国内で実施できる部分については前倒しで実施することで研究計画にできるだけ遅延を出さないように対応した。タイでの調査部分が予定から遅れていると判断している。 本研究の計画では交通省でバンコク首都圏の交通需要データおよび幹線道路の断面交通量データ(24年度)と統計局で新車の生産台数およびタイ国内での発売台数データ(またはそれを推定することが可能なデータ)を調査し入手すること(25年度)を予定していた。交通需要は配分計算による地区ごとの交通需要推定に、新車の生産・販売台数データは車齢および車種構成の推定に使用する予定であった。これらはまだ入手できていないが、交通需要は(少し古いが)1992年のバンコク首都圏の貨物輸送データを代用することで計算システムの開発を行った。最新の幹線道路の断面交通量データはいまだ入手していないものの、日本自動車研究所の研究者から昨年度統計局より刊行されたとの情報を得ている。(交通量配分計算による地区ごとの交通量の推計はこれらデータが入手でき次第数値計算がおこなえる状態になっている。)また、新車の生産台数およびタイ国内での発売台数データは、そのもののデータが存在するか不明であるので類似のデータを含めて統計局で広範に調査する必要がある。データが存在しない場合や欠損がある場合には幹線道路をビデオ撮影することで実測する予定であったので、いずれにせよバンコクでの調査活動が必要である。 日本で実施した交通量の計算結果をバンコクの実測交通量から評価することが本研究の本質的な部分であることから、これらのデータの入手は行いたい。以上の理由から本研究はやや遅れを生じていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は本研究課題の最終年度である。研究計画に従い研究を遂行する予定である。 タイの政府機関を訪問して25年度に実施できなかった交通統計の調査および入手を行う。これは連携研究者の人的ネットワークを用いてタイ交通省の知人を紹介してもらうことが可能であると判明したのでこの方との情報交換をもとに訪タイによる現地調査を行う。 この調査によるデータをもとに24年度計画部分である断面交通量を用いた起終点交通量のupdateを行い、バンコク首都圏を対象とした交通量配分による地区交通量の推定結果を高精度化する。これについては現在のところ入手可能なデータが1992年の貨物データのみであったことからこれをもとに計算を行っている。計算システムの開発は完了しているのでデータが入手できれば計算はすぐに行うことができる。 25年度より継続している地理情報システムによる衛星画像からの瞬間走行台数の推定について結果をまとめる。また、配分による1日交通量の推定結果と統合する。瞬間交通量からの一日平均交通量の推定するのは現在の計画にはなく、新しい課題のテーマにつながると考えている。 新車の生産台数およびタイ国内での発売台数データを入手、またそれと同時に幹線道路を数か所選んでビデオ撮影することにより調査した結果から車種・車齢の推定を行う。具体的には入手したデータをもとに生存率曲線のパラメータを推定し、走行している車両の車種構成、車齢を推定する。時間的に余裕があれば東京都環境局のCo2排出料推定モデルを適用して排出量の推定と現在公表されている値との比較を行いたい。 以上を個別のテーマにまとめて海外の(特にアジア地区の)論文誌に投稿する準備を行う。また国際会議での報告も継続して行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額が生じたのは現地調査が実施できなかったことによる。本計画にはタイ行政当局が実施した統計調査の状況の整理も含まれるが、25年度後半以降、調査対象地域であるバンコク(特に官庁街)の政情不安により外務省から渡航注意が勧告され、当調査を実施することができなかった。 現地の状況を見極めて26年度は調査を実施したいと考えている。
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