本研究の目的は自動車交通に起因する環境負荷物質の排出量を推計するためにバンコク市の幹線道路だけでなく細街路の車種・車齢別交通量、通行速度等の特性値を小地域ごとに推定することである。研究の計画はおおよそ以下のとおりである。バンコク市を対象としたパーソントリップ調査データを主要幹線道路の断面交通量データを用いて修正し、起終点交通量データを作成する。バンコクの細街路も含む詳細な道路ネットワークデータ上にこの起終点交通量を利用者均衡配分し各道路リンクの経路別交通量を算出する。一方、細街路を走行する車両の台数を衛星画像から抽出し、これをもとに細街路交通量の推定を試みる。これらのリンク別交通量から車種・車齢別交通量を推定する。これは衛星画像の断面交通量観測地点の道路上の車両を目視により分析して推定する方法とタイ自工会の新車販売データからの推定を検討する。 バンコク市のパーソントリップ調査は集計データでのみ公開されていたため起終点交通量を得ることができなかった。そこで1998年に実施された貨物輸送データをもとに起終点交通量を作成した。これを旅客/貨物比で拡大し、バンコク市内の主要幹線道路33か所での断面交通量調査をもとに修正計算を行った。均衡配分計算は問題なく実施した。車種・車齢別構成比は衛星写真画像からの判別を試みた。車両画像から数カ所の主要幹線道路の大型/普通乗用車/2輪車の比を求めた。車齢別構成比はタイ自工会のホームページで公開されているタイ国内での新車の販売台数をもとに生存曲線を推定している。この作業は現在進行中で生存曲線を表す数理モデルのパラメータの推定と検証を行っている。細街路交通量の検証に用いることを想定して衛星画像からの車両の抽出を位置座標を抽出した。これは地理情報システム上で目視により行った。このデータをもとに細街路の交通密度を計算し細街路交通量の検証を行う予定である。
|