本年度は、第一に、リマニュファクチャリングの対象となる製品のライフサイクルモデルを構築することを目的として、自動車パーツを対象にして、企業の協力を得て、リマニュファクチャリングの需要が発生するタイミングについてのモデル構築を行った。同モデルを需要タイミングの予測に適用し、その精度の検証と精度向上のための課題の検討を行った。高い精度での予測の実現は生産計画や在庫管理の適正化にも役立つ。実データに基づき検証した結果、参照ケースと比較して高い精度の予測が得られることを確認した。一方で、製品の寿命モデルを別途構築して、当モデルとの統合による予測精度の向上が次の課題として明らかになった。以上の内容を二編の学術論文として発表した。 第二に、リマニュファクチャリング製品に対する需要者の選好モデルを構築することを目的として、昨年度に引き続いて消費者選好分析を実施した。本年度は新たに、自動車パーツのリマニュファクチャリング製品に対する消費者意識を問うWebアンケート調査を日本とアメリカの両国で実施し、両国の消費者選好の抽出と、二国間での比較分析を行った。既存研究を参照して、消費者選好の要因(construct)として、製品知識、便益認識、リスク認識、価格意識、の四点に着目し、各要因に対してそれぞれ三~六問の設問を設定し、Webアンケートを実施した。分析の結果、リマニュファクチャリング製品がより普及しているアメリカで、各項目について消費者受容性が高いという結果が得られ、特にアメリカの消費者の製品知識の高さと、日本の消費者のリマニュファクチャリング製品に対するリスク認識の大きさが、両国の市場の違いを形成する主要要因であることが明らかとなった。当成果は、平成27年度に発表の予定である。
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