研究課題/領域番号 |
24510236
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
水井 潔 関東学院大学, 工学部, 教授 (10229685)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ITS / 安全運転支援 / 可視光通信 / 車車間通信 / 車載レーダ / スペクトル拡散方式 |
研究概要 |
本年度では,ヘッドライト,テールランプといったLED化されつつある車載光源を利用したスペクトル拡散方式を用いた可視光車車間通信・測距統合システム(可視光ブーメラン方式)の一検討について報告した. ヘッドライトやテールランプを利用した光変調を行う場合,信号0と信号1の2値でディジタル変調するON-OFFキーイングと,信号の振幅(強度)に応じてアナログ変調を行う光強度変調,フレーム内の信号(パルス)の位置でディジタル変調を行うパルス位置変調(PPM変調)が考えられる.ブーメラン方式で利用するスペクトル拡散方式(SS方式)は直接拡散方式(DS方式),周波数ホッピング方式(FH方式),時間ホッピング方式(TH方式)がある.上記の3つの光変調のうち,ON-OFFキーイングと光強度変調はDS方式が,PPM変調はTH方式が対応できる. 本年度は,TH方式の可視光ブーメラン方式を検討した.本年度のシミュレーションで採用したTH方式は,1bitを4frameに分割し,各frameに32個のslotを用意し,A車で設定したホッピングパターンに従い,frame毎にあるslotだけを点灯(ON)し,他のスロットは消灯(OFF)とする方式とした.また,B車での拡散(情報変調)方法は,情報が“1”(あるいは“+1”)のときは,受信パルスを1slotだけ遅延させ,その信号を受信パルスに引き続き送信し,情報が“0”(あるいは“-1”)のときは,受信パルスを2slot遅延させ,受信パルスとその遅延信号を送信する方式とした.A車での逆拡散(情報復調)と測距はマッチドフィルタの出力を用いる方法とした. シミュレーションの結果,タイムホッピング(TH)方式を採用することで,干渉光の強弱にはあまり影響を受けないが,干渉パルスの混入確率によって特性が劣化することが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画の段階では,検討システムに混入する干渉波として背景光の場合まで検討する予定であったが,現段階では,同じシステムからの干渉波のみの検討までになっている.この理由は,検討システムのシミュレーション用プログラミングに予定よりも時間がかかったこと,ここまでのシミュレーション結果が予想していた結果ほど良くなく,結果の検討に時間がかかったことなどが上げられる.
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今後の研究の推進方策 |
まずは,本年度の研究計画の残りの部分を推進する.検討システムの背景光に対する特性を明らかにする.そのためにまずは,従来型システムをそのまま可視光通信に適用した場合について改めてシミュレーションを行い,干渉波特性を求める.その後,検討システムの背景光特性を求め,従来型との比較とさらなるシステムの改良を行う. 次に,研究計画に従って,次年度に予定している車載レーダとの組み合わせについて検討を行う.
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度において未使用額が生じた主な原因は,海外で開催された国際会議への参加を行わなかったことにある.これは,研究の進捗状況が芳しくなかったことと,国際会議の場合は論文投稿から発表まで半年から1年程度の時間がかかること,並びに,日程の関係などから調査のための国際会議参加も控えたことが理由としてあげられる. このような状況の中で次年度は,当初予定以上に研究成果をあげるように努め,国内外での学会で成果を発表する必要がある. 研究成果を予定以上にあげるために,高速なシミュレーションが可能なパソコンの購入台数を増やし,複数台による同時シミュレーションを行う.また,海外での国際会議への投稿も積極的に行い,国内外での研究成果の発表並びに調査のための旅費への充当額を増やす予定である.
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