研究課題/領域番号 |
24510236
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研究機関 | 関東学院大学 |
研究代表者 |
水井 潔 関東学院大学, 理工学部, 教授 (10229685)
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キーワード | 高度交通システム / 車車間通信 / 車載レーダ / ブーメラン方式 / スペクトル拡散方式 |
研究概要 |
2013年度はまず,直接拡散方式(DS方式)を用いる従来のブーメラン方式を可視光通信に適用する場合を考えた.この場合,光変調としては,信号0と信号1の2値でディジタル変調するON-OFFキーイングと,信号の振幅(強度)に応じてアナログ変調を行う光強度変調の利用が考えられる.いずれにしろ,干渉光が加わった場合,信号レベルが低い信号が信号レベルの高い信号に誤ることはあるが,その逆はない.また,信号が存在しない非通信状態と信号0という信号または信号レベルの低い信号が連続している通信状態の区別がつきにくい.これらにより,正負のレベルがある電気変調のブーメラン方式と可視光ブーメラン方式の特性が変わる可能性がある.そこで本研究では,光ファイバ通信によく用いられるマンチャスタ符号を用いた可視光マンチェスタブーメラン方式の検討を行った.シミュレーションの結果,他車からの干渉光がある場合の特性は従来の直接拡散方式を用いた可視光ブーメラン方式よりも,若干ではあるが,向上することが確認された.また,簡単なモデル化をした背景光が干渉光として混入しても特性に影響がないことも確認された.この検討により,昨年度行うはずだった背景光に対する検討の一部が行われたことになる. 2013本年度では次に,可視光ブーメラン方式と既存の車載レーザレーダを組み合わせた,レーザレーダ可視光ブーメラン方式を提案しその評価を行った.本方式は,レーザレーダで測距を行うと同時にテールランプを用いて車車間通信及び測距を行うものである.スペクトル拡散としてはレーザレーダに親和性のあるタイムホッピング方式を使用した.シミュレーション結果から,ある程度の干渉が加わっても,車車間通信と測距が可能であることが確認された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2013年度は,まず,2012昨年度計画で実施されていなかった検討システムの背景光に対する特性を明らかにすることから始めた.そのためにまず,直接拡散スペクトル拡散方式(DS方式)をそのまま用いた従来型可視光ブーメラン方式と可視光通信に親和性があると考えられたマンチェスタ符号化を適用した提案型可視光マンチェスタブーメラン方式の背景子雑音に対する特性も含めた耐干渉波特性を評価した.しかし,タイムホッピング方式を用いた検討システムの背景光特性についての評価はまだ行っていないので,「やや遅れている」と判断した. しかし,2013年度実施予定であった「車載レーダとテールランプを用いる可視光ブーメラン方式の検討」はほぼ予定通り行え,レーザレーダと可視光タイムホッピングブーメラン方式を組み合わせた方式を提案し,その特性を評価した.この部分に関しては「おおむね順調に進展している」と言えそうである. 以上の結果,本年度は「やや遅れている」とした.
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今後の研究の推進方策 |
2014年度ののメインテーマは「2年間の検討の総合評価と双方向通信化の可能性の検討」である.そこでまずは,2013年度に提案したレーザレーダと可視光タイムホッピングブーメラン方式を組み合わせた方式の改良から行う予定である.本方式のシミュレーションに用いたタイムホッピングスペクトル拡散復調部が簡易すぎるため,本方式の特性が十分とは言えないものとなっている.そこで,この復調部の改良を中心に検討する.また,改良する方式の特性評価に背景光に対する評価を加え,遅れを取り戻すつもりである. 次に,改良した検討システムの双方向通信化の可能性を検討する.
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画では外国で開催される国際会議への旅費を計上していたが,今回,ホノルルで開催された国際会議に水井本人がスケジュールの都合で参加できなかったため,同行するはずだった学生分も含めて,出張旅費の支出が出来なかったことが一番の理由である. また,シミュレーション補助などに支払う予定であった人件費・謝金も支出していないことも理由の一つである. 次年度は研究最終年でもあるので,国内会議・国際会議に積極的に投稿し,旅費を使用する計画である.また,シミュレーション補助等への謝金の支払いも行い,人件費・謝金を使用する.物品費としては,データ保存等のための補助記憶装置の購入を計画している.さらに,最終報告書をまとめ,その印刷・製本費に利用するつもりである.
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