研究課題/領域番号 |
24510245
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
津久井 雅志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50192191)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 噴火履歴 / 噴火推移 / 史料 / 噴火シナリオ / 火山防災 |
研究概要 |
① 有珠山(1663,1769,1822,1853年噴火),② 北海道駒ヶ岳(1640,1694,1856年噴火)をとりあげ,北海道立図書館,北海道立文書館,函館市立図書館,弘前市立図書館,青森県立図書館,八戸市立図書館,松坂市松浦武四郎記念館,都内の国会図書館,国立公文書館,国文学研究資料館,都立中央図書館等において,史料収集を行なった.このうち特に有珠山の噴火史料の読解,整理・解析の作業を進めた.史料の読解については,専門家の校訂の協力を得て,また,史料整理には学生の協力を得て作業を進めた. 今年度の調査と解析により,・史料記録者や史料の成り立ちに関する定説を修正する結果を得た.・火山から200㎞以上離れた北海道厚岸町や松前町,東北地方の弘前市,八戸市,能代市,盛岡市においても降灰.鳴動などの記録を発見した.・これらの史料を系統的に読解・整理することによって,噴火の推移や,噴出物の分布を高い精度・高い分解能で明らかにした.・当時の幕府や松前藩の現地役人らが,噴火の開始前,噴火開始後の進行に応じてとった具体的な防災・減災対策が非常に明確にし,被災にいたった経緯も明らかにした. これらの成果をとりまとめて平成24年10月に日本火山学会秋季大会で「史料による有珠山文政噴火(1822)の推移の再構築」というタイトルで発表するとともに,平成25年3月に1663,1769,1822,1853年噴火史料を翻刻して解説を加えた「有珠山噴火史料集」(140p.口絵10p)を発行し,関係者に配布した.平成25年7月にはこの内容の一部を,IAVCEI (International Association of Volcanology and Chemistry of the Earth's Interior) 2013 鹿児島大会 で発表する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
有珠山の史料収集とその解析結果は従来の同種の研究に対して,原典に関する情報と記述内容の信頼性を評価した上で,系統的な解析を行ない,従来の説を修正し,新たな知見を得た点では,計画以上の成果を得られたと考える.北海道駒ヶ岳の解析作業については,(平成24年度単年度)他大学客員教員に採用され,そちらにも時間を費やしたため,若干遅れている.史料収集はほぼ計画通りに進んでいるので,今年度に解析作業を進める.また,この成果を活かして噴火シナリオ作成の作業を進める.
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今後の研究の推進方策 |
北海道駒ヶ岳の史料解析, 渡島大島(1741年およびそれ以降の噴火)の史料の収集,読解,整理・解析の作業を進める. 本年度は,史料調査のため,北海道立図書館,北海道大学・北海道立文書館,函館市立図書館,弘前市立図書館,青森県立図書館,八戸市立図書館への出張を予定している.史料の読解については,専門家の校訂の協力を得て作業を進める予定である. 平成24年度に検討を進めた① 有珠山,② 北海道駒ヶ岳について,史料,地質調査,遺跡発掘の結果を総合して噴火シナリオの試作を行なう. 以上の成果を,史料集,噴火シナリオとして適宜公表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成23年10月に科研費(平成24-27年度)申請後に,(平成24年度単年度)他大学客員教員公募に応募し採用された.その兼務により,科研費申請時の平成24年度研究計画が予定より若干遅れて進行しており,残高が生じた. 平成25年度は史料調査のため,北海道立図書館(江別市),北海道大学・北海道立文書館(札幌市),函館市立図書館,弘前市立図書館,青森県立図書館,八戸市立図書館への出張を予定している. また,平成25年度7月に鹿児島で開催されるIAVCEI(国際火山学及び地球内部化学協会)の総会,学術大会に参加・発表をする.史料収集・成果発表のための旅費,史料解読・整理のための謝金・物品費,史料集等成果印刷のための費用を計上する.
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