研究課題/領域番号 |
24510245
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
津久井 雅志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50192191)
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キーワード | 噴火 / 史料 / 北海道駒ヶ岳 / 噴火史 / 噴火履歴 |
研究概要 |
北海道駒ヶ岳(1640,1694,1856年噴火)をとりあげ,北海道立図書館,北海道立文書館,北海道大学,函館市立図書館,弘前市立図書館,青森県立図書館,松坂市松浦武四郎記念館,国立国会図書館,国立公文書館,国文学研究資料館,都立中央図書館等において,史料収集を行なった.古文書専門家の協力を得て,噴火史料の読解,整理・解析の作業を進めた. 今年度の調査と解析により,・史料記録者や史料の成り立ちに関して整理し従来注意されていなかった記録者と成り立ちが明確になった.・寛永十七年噴火では火山から600㎞以上南西に離れた金沢市,郡上市においても降灰があったらしい,という既存の報告を確認した. ・安政三年八月噴火の際に道内を調査していた複数の隊の記録を解析した ・噴火後役人,地元民がとった具体的な支援活動が明確になった. このように史料を系統的に読解・整理することによって,噴火の推移や噴出物の分布を高い精度・高い分解能で明らかにした. 1640,1694,1856年噴火史料について読解をすすめ,翻刻して解説を加え,平成26年3月に「北海道駒ヶ岳噴火史料集」(103p)を発行した. 昨年度とりまとめた有珠山の噴火史の成果を,平成25年7月にIAVCEI (International Association of Volcanology and Chemistry of the Earth's Interior) 2013 鹿児島大会 で発表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
北海道駒ヶ岳の史料収集とその解析結果は,同種の既往研究に対して,原典に関する情報と記述内容の信頼性を評価した上で系統的な解析を行なうことによって,従来の説を修正し,新たな知見を得た点で,計画した成果を得られたと考えるが,時間を要していることから若干ではあるが,予定よりも解析作業が遅れている.史料収集は,ほぼ計画通りに進んでいるので,今年度に解析作業を進める.また,この成果を活かして噴火シナリオ作成の作業を進める.
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今後の研究の推進方策 |
渡島大島(1741年およびそれ以降の噴火),樽前山の噴火関連史料を収集し,読解,整理・解析の作業を進める.本年度は,史料調査のため北海道立図書館,北海道大学・北海道立文書館,函館市立図書館,弘前市立図書館,青森県立図書館などへの出張を予定している.史料の読解については,専門家の校訂・編集の協力を得て作業を進める予定である. また,これと並行して平成24年度,25年度に検討を進めた① 有珠山,② 北海道駒ヶ岳について,史料,地質調査,遺跡発掘の結果を総合して噴火シナリオの試作を行なう. 以上の成果を,史料集,噴火シナリオとして適宜公表する.
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次年度の研究費の使用計画 |
報告書作成が年度末にずれ込み,見積額・残金の確定が遅れたため,未使用金がでた. 平成26年度交付予定助成金と合せて,平成26年度に予定している渡島大島火山,樽前火山の史料解析のためのパソコン環境の整備のために使用する. なお(次年度使用額を含めた)平成26年度交付助成金は,史料調査旅費,史料解析のための諸費用,解読・編集の作業の業務委託費,成果発表,史料集印刷費に充てることを予定している.
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