研究課題/領域番号 |
24510245
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
津久井 雅志 千葉大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (50192191)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 噴火履歴 / 史料 / 噴火シナリオ / 有珠山 / 北海道駒ヶ岳 / 渡島大島 / 樽前山 / 噴火推移の高精度化 |
研究実績の概要 |
平成27年度に引き続き渡島大島(おしまおおしま)火山寛保元年七月(1741年8月)の噴火と津波,およびそれ以降の規模の小さな火山活動に関連する文書記録の収集と整理を行った.これまでに知られていた寛保元年,同二年(1742年),宝暦九年(1759年)の降灰については文書記録をもとに北海道・青森県内の分布地点を示すことができた.それ以外の宝暦元年(1751年),明和六年(1769年),安永四年(1775年),天明六年(1786年),寛政二年(1790年)の降灰も渡島大島起源の可能性が,確実ではないが高い,と考えている.寛保元年八月,安永元年(1772年)九月には硫黄と判断される悪臭が弘前や八戸で観測された記録が残っている.これらの活動は渡島大島火山の寛保元年山体崩壊で生じた凹地の中に成長した火口丘の活動に伴うものと判断される.以上の結果を2015年日本火山学会秋季大会で津久井が発表した.さらに,これまでに検討・解析した史料を『渡島大島噴火史料集』(76p)にまとめて平成28年4月12日に印刷が完了,公表予定である. 樽前山と雲仙岳の歴史時代の噴火史料の収集と整理を本格的に進めつつある. 以前から進めていた浅間山天明噴火の噴出物の斑晶鉱物の特徴をまとめて,日本火山学会で塚原・津久井が発表した.天明噴火の火山毛の分析結果を,塚原・津久井・古川・小林(2015)1783 年浅間山天明噴火で噴出した「火山硫黄毛」.火山,60,483-486.として公表した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
法律に基づき火山防災協議会が火山の地元自治体に設置されるのに伴い,4火山の火山防災協議会に有識者委員として参加し,噴火履歴の総括,避難計画策定のための基本方針の検討等に協力した.所属機関の改組に関連する検討,書類準備等に時間をあてなくてはいけなかった.それらのために,本来研究課題に費やす予定の時間が充分確保できなかった.本研究課題申請時には予見できないことであった.
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今後の研究の推進方策 |
本課題の研究助成期間は当初平成27年度までを予定していたが,上記の事情により期間延長を申請し,承認された.現在,樽前山について史料の収集がかなり進んだ段階にあり,検討を進めるとともに,噴火履歴・噴火推移情報の高度化をはかる.平成28年度内に史料集の作成と噴火シナリオの取りまとめを完成させたいと考えている.
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次年度使用額が生じた理由 |
課題の研究助成期間は当初平成27年度までを予定していたが,研究計画の遂行に遅れがあったため,予算残額がでた.
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次年度使用額の使用計画 |
現在,樽前山について史料の収集がかなり進んだ段階にある.まとめの史料収集・現地調査の旅費として執行するとともに,平成28年度内に噴火シナリオの取りまとめ,史料集作成のための校訂・編集委託,および印刷代金にあてる予定である.
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