潜在震源断層マッピングのための日本列島重力データベース構築

2013 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 24510249
• 研究機関: 中部大学
• 研究代表者: 工藤 健 中部大学, 工学部, 教授 (80410645)
• 研究分担者: 山本 明彦 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (80191386)
• キーワード: 重力 / データベース / 活断層 / 潜在震源断層

研究概要

本研究は、次世代の活断層研究および地殻変動学を推進するための基本物理量データとして今後100年の使用を想定し、それに耐え うる精度、発展性、利用形態を考慮した「日本列島重力データベース」の構築を進めている。具体的使用目的として、潜在する震源断 層の実体解明を全国同一精度で、従来の活断層データと相補的に行うことを想定する。その上で満足なクオリティと利用しやすい(画 像情報を含む)形態での情報公開を目標としている。
２年目となる本年度は昨年度に引き続き、(1)高精度な重力測定のための環境整備、(2)重力データ空白域における重力測定、および( 3)データベース構築のための数値処理システムの環境整備、に重点を置いた。以下にそれぞれの実施内容を報告する。
(1)高精度な重力測定のための環境整備においては、昨年度導入を開始した可搬型GNSS測位システムを用いた重力観測に関して、精度の検証と作業の効率化を行った。
(2)重力データ空白域における重力測定に関しては、当重力データベース最大の測定点空白域である北海道中~北部において、2013年8月18日~9月5日にかけて重力測定を実施し、348地点における新たな重力データを収録した
(3)データベース構築のための数値処理システムの環境整備においては、昨年度愛媛大学に導入した複数の計算機を用いてこれまでの重力デ ータベース数値処理システムを更新するとともに、上記の目的に応じた情報公開の仕組みについて検討した。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

重力データ空白域における観測に関しては、新システム導入により精度を向上させた一方で1地点における観測時間を長くする必要が生じ、現地にて作業の効率化を検討しながら進めているが、依然として当初の計画の80パーセント程度の実績にとどまっている。

今後の研究の推進方策

次年度も引き続き、既存の重力データが不足している北海道において、重力測定を継続し、データ空白域の解消に努める。
その一方で、データ処理システムの汎用化、効率的な情報公開の方法について検討する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度の観測が効率よく進んだ結果、旅費、人件費・謝金の支出が予定より少額となった。
次年度8~9月実施予定の重力データ空白域(北海道中~北部)の重力観測およびそのデータ処理に使用する予定である。

研究成果

• [雑誌論文] Evolution of late Cenozoic magmatism and the crust-mantle structure in the NE Japan Arc (2013)
  • 著者名/発表者名: Takeyoshi Yoshida, Jun-ichi Kimura, Ryoichi Yamada, Valerio Acocella, Hiroshi Sato, Dapeng Zhao, Junichi Nakajima, Akira Hasegawa, Tomomi Okada, Satoru Honda, Masahiro Ishikawa, Oky Dicky Ardiansy Prima, Takeshi Kudo, Bunichiro Shibazaki, Akiko Tanaka, Toshifumi Imaizumi
  • 雑誌名: Geological Society London Special Publications 巻: 385(15) ページ: 335-387
  • DOI: doi.org/10.1144/SP385.15
  • 査読あり
• [学会発表] 重力から見た別府湾ならびに周辺の地下構造
  • 著者名/発表者名: 山北 聡、工藤 健、伊藤 谷生
  • 学会等名: 日本地球惑星科学連合12014年大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜