本研究は、次世代の活断層研究および地殻変動学を推進するための基本物理量データとして今後100年の使用を想定し、それに耐えうる精度、発展性、利用形態を考慮した「日本列島重力データベース」の構築を進めている。具体的使用目的として、潜在する震源断層の実態解明を全国同一精度で、従来の活断層データと相補的に行うことを想定する。その上で満足なクオリティと利用しやすい(画像情報を含む)形態での情報公開を目標としている。最終年度となる本年度は昨年度に引き続き、(1)高精度な重力測定のための環境整備、(2)重力データ空白域における重力測定、および(3)データベース構築のための数値処理システムの環境整備、に加え、(4)最新の「日本列島重力データベース」の構築を行った。以下にそれぞれの実施内容を報告する。 (1)高精度な重力測定のための環境整備においては、初年度導入を開始した可搬型GNSS測位システムをもちいた重力観測に関して、観測位置データ処理システムの改善を行った。 (2)重力データ空白域における重力測定に関しては、当重力データベース最大の測定点空白域である北海道中~北部および、仙台市周辺において、2016年8月17日~9月4日にかけて重力測定を実施し、280地点における新たな重力データを収録した。 (3)データベース構築のための数値処理システムの環境整備においては、愛媛大学ー中部大学間で同様の数値処理を実施する体制を整え、相補的、効率的な処理を行った。 (4)最新の「日本列島重力データベース」の構築に関しては、4万5千点を超える他機関測定の重力データを新たに当データベースに加えた。すべての他機関データを、愛媛大ー中部大で統一された処理システムで再計算するとともに、混入しているバグデータの抽出、修正もしくは研究用データベースからの削除作業は、現在も継続中である。
|