東北地方太平洋沖地震によって誘発されたと考えられる活断層の周辺において,地下水等を採取し,主成分組成,水素・酸素同位体組成および溶存ガス中の希ガス同位体組成の定量を行う。その結果,主震の震源近傍では,地震後に3He/4He比の若干の増加が,震源から数十km以上離れた地域では,3He/4He比が若干減少する傾向が認められた。このことは,震源近傍では断層活動によって地下深部のマントル起源のヘリウムの上昇が,震源から離れた地域では,揺れによって岩石中の微小割れ目から地殻起源のヘリウムが地下水に付加されたと考えられる。また,希ガス同位体は変動地形の明瞭でない活断層の調査に有効であることが示唆された。
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