爆発的噴火によって形成された火道・カルデラ構造の解析を、三宅島およびエトナ火山、ストロンボリ火山などにおいて行い、露頭から得られた火口断面構造とその火口からの噴出物との対比による火道―火口システムの構造的発達について解析した.その結果、噴火の爆発力の違いを反映した火道-火口断面構造のバリエーションを明らかにすることができた.火道に残された噴出物の破砕深度から爆発的噴火の発生深度(破砕深度)を見積もることができ、破砕深度と火道の水平規模に正比例関係があることを見出だした.それを基に、非爆発的噴火では火道出口付近の侵食はほとんど進行しないのに対し、爆発性が高まるとともに火道壁の侵食が側方・下方にそれぞれ拡大し大きな火口を形成することを示した. 本年度は、苦鉄質火山における爆発的な噴火の代表例として、富士山宝永噴火の噴出物の解析を実施し、層序に沿った噴出物の垂直変化から噴火プロセスの復元を行った.またマグマの組成によらない普遍的な火道形成過程のモデル化のため、より珪長質マグマの火山として桜島火山や池田火山など南九州の火山群を特に対象とした野外調査を実施した.これら安山岩~流紋岩質マグマの爆発的噴火の噴出物の層序やマグマの発泡度、軽石の粒径変化からマグマの上昇破砕過程を解析するとともに、異質岩片の含有量やその種類の変化から火道拡大過程の解析を行った.特に、カルデラ形成噴火に関係する大規模な爆発的噴火である姶良噴火の噴出物について野外調査による噴火推移の復元を行った.また、カルデラ噴火の規模とカルデラ構造との間の相関関係を力学的モデルにより解析した.これらの成果は、平成26年7月に開催された第一回国際火山地質ワークショップで口頭発表したほか、エトナ火山の火道断面構造の発達に関する論文をFrontiers in Earth Science誌に発表した.
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