研究課題/領域番号 |
24510255
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
横山 俊治 高知大学, 自然科学系, 教授 (20325400)
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研究分担者 |
井口 隆 独立行政法人防災科学技術研究所, 社会防災システム研究領域 災害リスク研究ユニット, 研究参事 (40360375)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 線状凹地 / 山向き小崖 / 山上平坦面 / 前兆現象 / 深層崩壊 / 付加体 |
研究実績の概要 |
簡易レーザー測距儀を用いた微地形計測によって、線状凹地形成に関わった断層群のひずみ像と運動像の解析を試みた。解析の手順は次の通りである:①簡易レーザー測距儀を使って、尾根の両側の斜面を含めて、線状凹地が発達している尾根の微地形を計測する。②非変動域の斜面を外挿して、線状凹地形成前の尾根の地形を復元する。③計測した斜面を、変動前から存在していた地表面と変動に関わった裂け目の断層面とに区分する。④変動前から存在していた地表面について、現在の勾配と変動前の勾配との比較から、地表面の傾動の有無を判断し、ブロックの回転の程度を推定する。⑤断層面沿いの地表面の段差から、地表面の上下変位のセンスと量を推定する。⑥断層面を地中に内挿して、線状凹地群形成に関わった断層群の幾何学的形態を明らかにする。⑦尾根の変形全体の形成プロセスの復元を試みる。 解析を行った高知県いの町代次では、東西方向の尾根の南斜面において、斜面の走向とほぼ平行な山向き小崖をつくる断層が形成され、変動が始まった。この断層の成長に伴って、変動は尾根の頂部から北斜面に向かって広がり、変動域は次第に陥没した。最終的には、山向き小崖を形成していた尾根は連続性の良いやせ尾根(非変動斜面の一部)となって残った。やせ尾根に沿う断層は規模の大きな線状凹地に成長し、陥没領域内には多数の開口型の断層群が形成され、小規模な線状凹地群を生じた。これらの断層群の運動様式は狭い範囲で変化し、①面状正断層群、②リストリック正断層群、③共役面状正断層群、④共役リストリック正断層群が形成され、変動域全体が山上平坦面になった。こういった尾根の変動は、片理や岩相境界といった地質構造の変化や異常樹木(横山・横山、2004)から推定された地盤の動きと調和的であった。
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