台風によって日本にもたらされる水蒸気の起源を推定するために,降水同位体比の観測データと同位体モデルを利用し,台風が日本にもたらす水蒸気の起源解析を試みた.その結果,沖縄・九州・関東の順に台風時の降水同位体比は月平均値より低下することが観測された.これは,沖縄と九州では低緯度起源の水蒸気が長距離輸送されてレインアウト効果によって降水同位体比は低くなるが,関東では日本近海で蒸発した高い同位体比を持つ水蒸気の寄与が多いため低下しないことが明らかとなった.さらに当初計画を発展させ,日本全域における降水同位体比の詳細な時空間分布を,既存データや2013年集中観測により日本で初めて明らかにした.
|