研究課題/領域番号 |
24510257
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
黒木 正幸 大分大学, 工学部, 助教 (10295165)
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研究分担者 |
菊池 健児 大分大学, 工学部, 教授 (50117397)
野中 嗣子 大分大学, 工学部, 助手 (50274741)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 途上国 |
研究概要 |
本研究では,通路型開口の存在が枠組組積造壁体の耐震性能に及ぼす影響を把握するとともにその補強方法の提案を行うことにより,途上国における大規模地震災害リスクの軽減に貢献することを目的としている。 本年度は,通路型開口の周辺を小断面の鉄筋コンクリート造枠材で補強した試験体2体を設計製作し,一定の鉛直荷重下において繰返し水平荷重の載荷実験を行った。この実験により得られた結果と,過去の実験結果ならびに本研究の予備実験で得られた実験結果を用い,通路型開口の存在が枠組組積造壁体の耐震性能に及ぼす影響ならびに鉄筋コンクリート枠材による補強の効果について検討を行った。また,鉄筋コンクリート枠材によるせん断補強効果を表現するため,組積造壁体の斜め圧縮力と鉄筋コンクリート造の縦枠材ならびに横枠材の引張力により構成されるアーチ機構に基づいた強度算定式を考案し,その妥当性について実験結果と比較検討を行った。以上の研究により得られた結果を以下にまとめて示す。 (1)偏在開口を有する試験体では,加力方向によって鉄筋コンクリート枠材による補強効果に違いが見られた。(2)開口部の周辺を鉄筋コンクリート造の縦枠材で補強した試験体は,正加力側では無開口の試験体をも上回る最大荷重を示した。(3)縦枠材に加えて横枠材を配置した試験体では,より高い補強効果が得られた。(4)考案したせん断終局強度の算定式は過大評価を与えた。計算精度の向上が今後の課題である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度にあたる平成24年度は,通路型開口により枠組組積造壁体の耐震性能がどれだけ低下するかを把握するとともに,開口回りを鉄筋コンクリート造枠材により補強する方法の効果を実験的に検討することを目的とした。予定どおり,壁体試験体2体の実験を実施し既往の実験結果と合わせて比較検討を実施することができた。その結果,通路型開口の存在により枠組組積造壁体のせん断強度は低下するが,本研究で検討対象としている鉄筋コンクリート造枠材の配置のし方によっては,その強度低下を十分にカバーできることを明らかにすることができた。あと2年の研究により,実用技術として提案できる可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
これまで概ね順調に研究が進展しているため,今後も研究計画どおりに進めたい。鉄筋コンクリート造枠材による補強の効果は補強される側のれんが造壁体の強度にも依存すると考えられる。設計法を提案するためにはその影響を明らかにする必要があり,研究の2年目にあたる平成25年度はこれに取り組む。具体的には,壁体の強度を変動因子とした試験体を2体製作し破壊実験を行う。これに並行して,鉄筋コンクリート造枠材による補強効果の算定精度の向上のため,初年度に考案した力学モデルの修正を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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