研究課題/領域番号 |
24510271
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
嶋田 誠 藤田保健衛生大学, 総合医科学研究所, 講師 (00528044)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イントロン / スプライシング / 進化 / データベース |
研究概要 |
ヒトゲノム中の規格外に短いイントロン(微小イントロン)候補について、進化的保存性を基準に絞り込んだ結果、23個を得た。それらについて、そのスプライシングを示唆する傍証データの収集、微小イントロンを含む転写物・遺伝子の特徴を示すデータの収集、上記に含まれる関係性の探索を、以下のように行った。 まず、それぞれの微小イントロンの存在が予想される組織について行った、RT-PCR実験結果、またヒトmRNA-seqデータを用いたマッピング結果、さらに、遺伝子データベースでの個別に配列決定を行った証拠の有無、以上3点を基準として、階級付を行った。 次いで、これらのultra-shot intronの位置でのスプライシングに要求される基本的な配列における存在の確からしさを、それぞれ一般的ヒトのエクソンでの順位に標準化して互いに比較した。さらに、スプライシング反応の促進・抑制といった調節的役割を果たす配列のイントロンや隣接エクソンでの密度、およびイントロン配列の塩基組成の偏りについても同様に比較した。 また、これら微小イントロンを含む転写物や遺伝子の配列について、様々なアノテーション情報を収集し、微小イントロンの存在の確からしさの確認および微小イントロンの機能に関連する特徴を探索した。その結果の中、微小イントロンを含むことでNMDのターゲットを免れている例を発見した。ついで、これらの微小イントロンがどの系統段階でどのような経緯で進化してきたか、配列比較により解析した。 以上、得られた特徴間の関係から、規格外に短くともスプライシングが行えるよう、スプライシングの促進・調節の機構を利用していることが考えられた。その傍証として、これらの微小イントロン配列の塩基組成の違い、あるいはスプライシング・シグナル配列の強弱の違いによって、スプライシング調節配列が異なる傾向があることがあげられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ヒトゲノム内で一定の基準で網羅的に収集することで、従来まで存在そのものが考えられていなかった、イントロン長における最短値付近の急激な高頻度域より短いイントロンの存在を、明示することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
明らかになった微小イントロンと一般的な長さのイントロンの間で相違点を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度と同様に、おもにコンピュータ解析に必要なプログラム作成補助のために使用したい。
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