研究実績の概要 |
本研究助成によって開発公開しているインターネットを介したクラウド型の次世代シーケンスデータ解析パイプラインであるDDBJパイプラインにヒト白血球抗原(HLA)解析ツールを移植した(Hosomichi et al., 2014)。 ヒト6番染色体上のHLA領域は高頻度に多型を示し、100以上の疾患および薬剤副作用と関連してゲノム医学的に重要とされている。ヒトゲノム中のHLA領域の配列と次世代シーケンサーによって解読された個々人のゲノム配列を比較し、遺伝子型を判定する。今後日本人固有の遺伝子型のデータを充実させ、個の医療に繋がることを目的としている。20行程のコマンドラインのツールがユーザーが操作しやすいグラフィックユーザーインターフェイスによって、利便性が向上した。 また、DDBJパイプラインは解析の計算処理を国立遺伝学研究所のスパコンシステムで行っていた。このため、スパコンを他のユーザーが利用していると処理が遅延したり、個人情報保護の観点からパイプラインの利用をためらうユーザーの声もあった。このため今年度計画に沿ってDDBJパイプラインの仮想マシン(VM)開発を行った。これはパイプラインの機能を切り出してパッケージ化することで複数の計算処理の実行環境の中から環境を選択でき、個々のユーザーの目的に合ったパイプラインを構築できる。現在DDBJパイプラインと合わせて公開している。 DDBJパイプラインは開発だけでなく、自らも利用しており、共同研究によるゼニゴケのトランスクリプトーム解析やフグの性決定遺伝子単離の解析にも用いている。 以上の内容より、論文の共著、著作、学会発表、パイプライン講習会を行った。
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