研究課題
ヒト脳疾患の進展を末梢血のエピゲノムやトランスクリプトームの変化として捉えられるか?本研究プロジェクトではアルツハイマー病(AD)の抹消血に着目し、特定遺伝子のエピジェネティックな変化と遺伝子発現の変動を調べる。以前行ったヒト死後脳の遺伝子発現データを用いて、ADに特徴的な脳病変である「神経原線維変化(NFT:neurofibrillary tangles)」の進展と関連する遺伝子群を同定する。その中からさらに遺伝子を選抜し、DNAのシトシンメチル化レベル(5-mC)と遺伝子発現レベルを解析する。ADの進行が末梢血の変化に反映されていれば、侵襲度の低いバイオマーカーとしての可能性が期待でき、研究の更なる展開につながると考えられる。平成24年度はヒト死後脳71症例(東京都健康長寿医療センター:村山繁雄博士提供)の嗅内野、側頭葉(第1側頭回)、前頭葉(第2前頭回)に由来する全RNAを用いたエクソンアレイ(Affymetrix社)解析データから、NFTの進展(Braak NFTステージ分類:0 → I-II → III-IV → V-VI)と関連する「NFT関連遺伝子群」を同定した(宮下・中谷・桑野)。一部のNFT関連遺伝子については定量的リアルタイムPCR(TaqMan法)によって再現性を確認した。各遺伝子の機能や末梢血での発現量を文献やデータベースを検索し、精査した上でさらに遺伝子を絞り込み、本研究プロジェクトの解析対象遺伝子として限定した(宮下・中谷・桑野)。臨床被検体のリクルートは新潟大学病院の物忘れ外来で実施し、採血はインフォームド・コンセントを経て、同意を得た上で行った(池内)。その際、統計解析に必要な臨床情報(性別、年齢、認知機能テスト情報など)も合わせて取得した。血液は超低温フリーザー(-80℃)内で一時的に保管している(宮下)。
2: おおむね順調に進展している
Braak NFTステージ分類に依存して発現変動する遺伝子を同定でき、また認知症外来にて採血が順調に進んだ。
保存中の末梢血からRNA抽出、及びゲノムDNAの抽出を順次行う。定量と品質管理を行った後、遺伝子発現解析とDNAメチル化タイピングを行う。
遺伝子発現解析とDNAメチル化タイピング試薬を購入する。
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http://www.bri.niigata-u.ac.jp/~idenshi/index.html