研究課題
ヒト脳疾患の進展を末梢血のエピゲノムやトランスクリプトームの変化として捉えられるか?本研究プロジェクトではアルツハイマ ー病(AD)の抹消血に着目し、特定遺伝子のエピジェネティックな変化と遺伝子発現の変動を調べることを目的とする。これまでに行ったヒト死後脳の遺伝子発現データを用いて、ADに特徴的な脳病変である「神経原線維変化(NFT)」の進展と関連する遺伝子群を同定する。その中から遺伝子を選抜し、DNAのシトシンメチル化レベル(5-mC)と遺伝子発現レベルを解析する。ADの進行が末梢血の変化に反映されていれば、侵襲度の低いバイオマーカーとしての可能性が期待でき、研究の更なる展開につながると考えられる 。平成25年度はヒト死後脳(村山繁雄博士提供)の嗅内野、側頭葉、前頭葉に由来する全RNAを用いたエクソンアレイデータ(Affymetrix社)から、NFTの進展(Braak NFTステージ分類)と関連するNFT関連遺伝子を同定し論文化した(印刷中)。一部のNFT関連遺伝子についてはTaqMan法による定量的リア ルタイムPCR(qPCR)によって再現性を確認した。各遺伝子の機能や末梢血での発現量をデータベースで検索し、精査した 上でさらに遺伝子を絞り込み、本研究プロジェクトの解析対象遺伝子として限定した(宮下・中谷・桑野・池内)。臨床被検体のリクルート は新潟大学病院の物忘れ外来で実施し、採血はインフォームド・コンセントを経て行った(池内)。その際、統計解析に必要な臨床情報(認知機能テスト情報など)も合わせて取得した(池内)。血液から全RNAを抽出し、qPCRによって遺伝子発現量を定量した(宮下)。NFT関連遺伝子として同定された遺伝子は末梢血で発現しているのか?脳と末梢血の間で遺伝子発現量に相関はあるか?また、エピジェネティックな変化はどうか?などが今後の解析課題である。
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