5番染色体のCDH10/CDH9遺伝子間領域に、自閉症スペクトラム(ASD)患者群で最も広く共有される一塩基多型(SNP)が存在し、そのゲノム領域からMoesin遺伝子に対するアンチセンスRNAが転写され、神経発達に関わるMoesin蛋白量に影響を与える可能性が報告されている。 本研究では、ヒトの塩基配列を持つ人工染色体を利用して、このASDリスクSNPを含む配列をマウスの染色体へ組込んだところ、その配列はASD患者で機能障害が見られる大脳皮質・線条体・小脳において、前述のアンチセンスRNAの転写を活性化することが明らかになった。この結果はASDの複雑な遺伝的背景の一端を解明した点で意義深い。
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