研究課題
本研究では、因子分析という統計手法を構造方程式モデリングに組み合わせることで、遺伝子同士の制御関係のみならず、遺伝子発現に影響を及ぼしている細胞内因子の推定も行っている。全体的計画では、第一に構造方程式モデリングと因子分析やクラスタリングを組み合わせた新規ネットワーク推定手法の開発を行った。H25年度は次段階として、開発した手法を発生過程において測定された発現プロファイルへ適用し、細胞分化や器官形成のように時系列で形態変化する細胞内で起こっている遺伝子発現制御の候補因子の推定と制御ネットワークの推定を行った。H25年度に研究した項目は、研究計画書に挙げた研究項目のうち、3)~5)に該当する。3)は「発現データに、構造方程式モデリングと因子分析を組み合わせたモデリングを適用する手法の開発と適用」となっており、開発した手法を実際のデータに適用する際に必要な様々なプロセジャーの開発を行った。特に、偏相関と交差相関を組み合わせた初期モデル構築手法を開発した。さらに、4)の「開発した手法の、発現プロファイルへの適用」として開発した初期モデル構築手法や、構造方程式モデリングによるネットワーク推定手法をES細胞データやD.melanogasterデータに適用した。また、上記複数のモデル細胞・モデル生物において5)「推定ネットワークの構築」を行った。
2: おおむね順調に進展している
3年間の実施計画の中で、初年度に因子分析と構造方程式モデリングによるネットワーク推定手法の開発を行ってきた。次年度であるH25年度は、開発した手法を実際の発現データに適用し、様々なモデル生物・モデル細胞における遺伝子発現ネットワークの推定を行ってきた。特にモデル生物においては、初期胚における前後軸形成メカニズムのネットワーク推定を行うことで、開発した手法が発生過程におけるネットワーク推定にも有効であることを確かめることができた。モデル細胞としては、ES細胞のデータを使用することで、ES細胞データにも開発した手法の有効性を確かめることができた。
3年間の実施計画の中で、初年度は因子分析と構造方程式モデリングによるネットワーク推定手法の開発を行ってきた。次年度であるH25年度は、開発した手法を実際の発現データに適用し、様々なモデル生物・モデル細胞における遺伝子発現ネットワークの推定を行ってきた。特にES細胞のデータを使用することで、ES細胞データにも開発した手法の有効性を確かめることができた。最終年度は、これまで手法の有効性や実データへ適用するために開発してきた個別の手法を組み合わせ、発生過程における有効性とES・iPS細胞への有効性を組み合わせたネットワーク推定を行っていく予定である。
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