研究課題
天然物を基盤とした,薬用植物由来の新しい構造を持つ蛍光剤の探索と応用研究を行った。1)1,000種を超える植物エキスライブラリよりニガキ科のQuassia amara(健胃剤)の蛍光成分の探索を行った結果、極めて強い蛍光を持つ物質の単離に成功した。その蛍光物質の構造は、カンチンアルカロイド部(セグメントA)とカルボリンアルカロイド部(セグメントB)のメチレンを介した二つのユニットから構成されるダンベル型の新規化合物1(amarastelline A)であった。Amarastelline A(1)をHeLa生細胞に導入したところ、細胞を強く光らせることが明らかとなった。合成化合物2(N-エチルカンチン)は、HeLa細胞内では殆ど蛍光を示さず、細胞蛍光染色を行うためには、カルボリン部位が必要であると推測した。共焦点レーザー顕微鏡において細胞質内に蛍光導入されていることが明らかとなった。2)Amarastelline A (1)のカルボリン部位(ユニットB)の細胞染色における意義についての検証実験を行った。ユニットBをFisherの方法に基づいて,誘導体合成を行い,HeLa生細胞への導入実験を試みた。いずれも細胞染色には有効であることが明らかとなった。ユニットBについては特にカルボリン構造である必要はないと考えられる。3)トリプタミンとプロピオール酸エチルとのマイケル付加反応で得られたエナミン化合物にTFA酸性条件下Pictet-Spengler反応をおこない、カルボリン骨格を構築した。二級アミンのトシル化およびエチルエステルのLiAlH4還元によりアルコール体とした後、シュウ酸ジエステルへ誘導した。現在、得られたジカルボリルエステルと別途調製したハルマンに対してFischerのカンチン合成2をおこない、アマラステリン骨格の合成を検討中である。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (13件) (うち国際学会 4件) 備考 (1件)
日本大学文理学部自然科学研究所研究紀要
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