研究実績の概要 |
刺傷被害をほとんど引き起こさないミズクラゲと、比較的被害の軽いアカクラゲ、重度の刺傷被害を引き起こすハブクラゲ、アンドンクラゲの刺胞を単離し、触手1 gあたりに含まれる刺胞の個数とその刺糸長100マイクロメートルごとの階級分布を作成して種間の比較を行った。その結果、刺傷被害の程度の重いクラゲほど、長い刺糸を多く持つことが示された。以上の事から、刺傷被害の程度の差と刺糸長との間には正の相関があることが示唆された(論文投稿中)。 刺胞動物の刺胞からcnidarin類と名付けた環状ペプチド群を見出し、cnidarins 4A, 4B, 4Cについてこれらの絶対立体を含む化学構造を明らかにした。これらは全て天然から初めて得られた化合物であった。また、これらcnidarin類はキレート活性を持つことを明らかにした(特許申請中)。 カミクラゲSpirocodon saltatorはキュウリ様の特有なにおいを有するが、それらに関する研究は見当たらなかった。そこでこのクラゲの特異なにおいを分析し、(E)-2-nonenal、(E,Z)-2,6-nonadienalの二つの化合物が特有なにおい形成に関与していることを明らかにした(論文作成中)。
|