研究課題/領域番号 |
24510295
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
今西 未来 京都大学, 化学研究所, 助教 (80362391)
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キーワード | DNA結合タンパク質 / 転写因子 |
研究概要 |
任意のDNA配列に結合できる人工DNA結合タンパク質は、転写制御やゲノム編集のためのツールとして有用である。植物病原菌由来の転写因子様タンパク質(Transcription Activator Like Effector; TALE)は、DNA1塩基を認識するユニットの繰り返し配列を持ち、ユニットのシャッフルにより、様々なDNA配列に結合できることが近年明らかになってきた。本研究では、この転写因子様タンパク質のDNA結合特性の詳細を明らかにし、様々な標的塩基配列に自在に結合できる人工DNA結合タンパク質を創製することを目的としている。本年度は、この転写因子様タンパク質が結合できる塩基配列として、5’末端にチミンが必要であるという制限に着目した。より柔軟に標的配列を選択できる人工タンパク質を創製するために、DNA結合親和性は保持したまま、この5'末端塩基の選択性を解除することに取り組んだ。前年度、リピートドメインのN末端側ドメインに存在するリピート類似ユニット(リピート-1)に含まれる芳香環を持ったアミノ酸残基が、この5’末端塩基の認識に特に重要であることを示唆する結果を得ていたので、本年度は、この領域に変異を導入したライブラリを作製し、スクリーニングを行った。その結果、5’末端の塩基種に依存しない変異体を獲得することに成功した。また、得られた変異体のDNA結合特性を調べた結果、この5’末端塩基非依存性には、リピート-1に含まれるループ構造全体が重要であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スクリーニング系の構築を行い、目的の人工タンパク質を獲得することができた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに得られた知見を利用して、新しい性質を有する人工タンパク質の創製および、DNA結合特性の解析を行う。また新たなスクリーニング系の確立もすすめる。
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次年度の研究費の使用計画 |
スクリーニング系として複数の方法を試す予定であったが、一つ目に試した方法で興味深い結果が得られ、ここに注力したため。 本年度に確立したスクリーニング系を用いて、更なる人工蛋白質の創製を行う予定である。また同時に、本年度行わなかった系の確立をすすめることで、多方面からの検討を行いたい。
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