研究課題/領域番号 |
24510309
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
今村 信孝 立命館大学, 薬学部, 教授 (10160061)
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研究分担者 |
川崎 崇 立命館大学, 薬学部, 助教 (00408733)
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キーワード | サプロマイシン / 生理活性物質 / 結合タンパク質 / 生合成遺伝子 |
研究概要 |
25年度は046-Eが結合するミズカビ由来のタンパク質の解明を行った。046-Eが結合したミズカビ由来の16と22kDaの2つのタンパク質を、ペプチドフィンガープリント法で解析を行い、Saprolegnia parasitica CBS 223.65株のデータベースから検索を行った。その結果、これらのタンパク質は、両者ともにnucleoside diphosphate kinase B (NDPKB)であることが強く示唆された。また、応用展開を目指す上で046-Eの安定性は重要と考え、メタノール中25℃に置いた046-Eの光安定性をHPLC分析によって調べた。その結果、明所(光強度30micromol/m2/s)に置いたものは、低濃度のものほど分解速度が速く、試験した最も低い濃度の20microg/mlでは、6時間で約50%の残存率となった。暗所では安定しており、取扱いに注意が必要なことが判明した。046-Eの効力を十分に活かすためには、暗所で使用することが望まれるが、養殖場での有精卵の孵化は暗所で行われるのが通例であることから、実用化には大きな障害とはならないと考えられた。さらに、046-E生産性の向上を最終的な目標とし、まず046-E生合成遺伝子の全容を解明するために、046-Eの生合成遺伝子を含むと考えられるコスミドの解析を行った。アングサイクリン系の化合物である046-Eの生合成に必要なアングサイクリンやデオキシ糖の生合成遺伝子を含む遺伝子クラスターの存在が明らかとなった。まだ、生合成遺伝子の完全解析には至っていないが、046-Eを構成するでろう全て生合成遺伝子はほぼ揃ったので、9割方の解析は終了したと考えている。また、046-Eの生合成遺伝子を含むと考えられるコスミドをStreptomyces lividansへ導入し、薬剤耐性株を取得した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要で述べたように、今年度の計画については目標に近い成果を得ている。90%以上の達成度であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は、病原性を示す卵菌類で046-Eと結合する可能性があるnucleoside diphosphate kinase B (NDPKB)をコードする遺伝子を有するかどうかを確かめる。即ち、ゲノムDNA配列が決定されている病原性を示す卵菌類において、ミズカビ由来のNDPKBをコードする遺伝子と相同性を示す遺伝子が存在するかどうかを調べる。例えば、ジャガイモ疫病菌P. infestansのゲノムDNAのデータベースから相同性検索を行う予定である。さらに、ミズカビからNDPKBをコードする遺伝子をクローニングし、大腸菌で発現させることにより、NDPKBの組換え酵素を作製したいと考えている。また、046-Eが組換えNDPKBに対して阻害効果があるかどうかも調べることができればと考えている。046-Eの生合成遺伝子クラスターの全塩基配列の決定および解析を行うと共に、046-Eの生合成遺伝子を含むと考えられるコスミドを導入したStreptomyces lividansが生産する代謝物をHPLC、LC-MSで分析を行い、046-Eが生産されているかどうかの確認を行う。
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