研究課題
申請者らは、平成24年度に、HAIのGFP融合タンパク質の局在性解析および遺伝子発現の詳細なプロファイリングに加え、大腸菌発現タンパク質を用いたHAIタンパク質の脱リン酸化アッセイを行った。また、25年度以降に、一過的発現再構成試験を行い、脱リン酸化能と下流遺伝子の発現への影響におけるPP2Cの機能を明らかにした。これらの解析を通して、HAIの脱リン酸化能におけるABA濃度特異性など、HAIによるフィードバック制御の基本的な生化学的な特性を明らかにした。一方で、ノックアウト変異体を用いた遺伝学的なアプローチによる研究も行った。まず、HAIのシングルおよびダブルのノックアウト変異体を作製したが、顕著な表現型の差がみられなかったため、HAIなどのサブグループAb PP2Cの3重および4重変異体に加え、ABI1などのサブグループAa PP2Cの3重および4重変異体を作製した。これらの多重変異体を用いて、各種ストレス処理実験や表現型解析に加えて、リアルタイムPCR法による遺伝子発現解析などを行った。その結果、サブグループAa PP2Cは植物の生存に関わる基本的な機能を担っている一方で、HAIなどのサブグループAb PP2Cは、ストレス時に特異的な機能をもっていることを明らかにした。また、主に変異体解析によって、サブグループA PP2Cによって制御されているAREB/ABF転写因子およびサブグループIII SnRK2プロテインキナーゼのストレス応答や細胞機能の恒常性に関わる新規の機能を明らかにした。これら一連の研究を通して、AREB/ABF型転写因子やSnRK2プロテインキナーゼを下流で制御するグループA PP2Cのストレス特異的なフィードバック制御においてHAIなどのサブグループAb PP2Cが重要な役割を果たしていることを示した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件)
Plant, Cell & Environment
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