研究課題/領域番号 |
24510316
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
川添 嘉徳 神奈川大学, 天然医薬リード探索研究所, 研究員 (20402927)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | イメージング / 誘導展開 / 蛍光 / 蛍光プローブ |
研究概要 |
受給者はこれまでに、化合物ライブラリーのスクリーニングを通じて細胞内で構造変換を起こして蛍光を持つと同時に、生きた細胞内のミトコンドリアの表面を特異的に染色する蛍光プローブを見出した。この構造変換は環化反応であり、申請者はその構造も明らかにしている。さらなる解析の結果、この構造変換はpHに依存して引き起こされる事が明らかとなった。そこで本研究の目的は、本化合物を誘導展開する事によって、その応用性、つまり構造変換が引き起こされるpHやその色調を変化させ、染色される細胞の特異性を限定させたり、あるいは二重染色などの生命科学研究に対する応用性の拡充を図る事である。 これまでにおよそ50個の誘導体を作成し、それらの環化に対するpH依存性と色調を観測した。その結果、pH依存性をpH8.0から10.0へと変化させた化合物を得ることが出来た。また色調に関しては、オリジナルが黄色であったものを緑、及びオレンジにすることが出来た。これらの中で特に興味深いものは、作成した誘導体のうちの一つがソルバトクロミズムを示したことである。ソルバトクロミズムとは、化合物の置かれた環境によって色調が変化する事である。本化合物は、溶媒のpHや極性によって青から赤までの様々な色調を示す。本化合物は共鳴によって二つの構造を取ることが出来ると考えられ、おかれた環境に応じて優勢になる共鳴構造体の割合が異なる事で、ソルバトクロミズムを示すと考えられた。そこで、異なるpH環境でNMRスペクトルを観測する事で確かめられた。さらに、共鳴が起こらないような誘導体はソルバトクロミズムを示さない事を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の計画は、その特性を変化させた種々の誘導体を作成することであった。pH及び色調に関して、進展がみられている。さらに、当初計画では予想もしていなかった誘導体も見出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
まず、誘導展開をさらに推し進め、pHに関して酸性側でも環化するような誘導体を見出す。また、ここで作成した誘導体について、その細胞内局在を明らかにする。 これとは別に、オリジナルの化合物を利用する事によって、ミトコンドリアと小胞体の物理的なコンタクト個所の同定法を確立する。
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次年度の研究費の使用計画 |
誘導体作成とその局在解析にに思いのほか手間がかかってしまったため、当初予定していたミトコンドリアと小胞体との物理的コンタクトに関する研究が予想よりも遅れてしまった。細胞培養用試薬、及び細胞培養用プラスチック器具の購入を予定している。
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