研究課題
基盤研究(C)
14-3-3タンパク質のリン酸化ペプチドへの結合測定系を構築した。蛍光タンパク質融合14-3-3タンパク質(7種のアイソフォーム全て)と標的リン酸化ペプチドの結合は、これまでに他のタンパク質で確立した測定系、すなわち標的ペプチドを共有結合した96穴プレートに蛍光標識タンパク質をいれて結合する蛍光を測定する系を応用することで構築した。以下はその詳細である。① 蛍光標識14-3-3タンパク質発現ベクターを構築し融合タンパク質を大腸菌で発現した。ヒト14-3-3タンパク質およびその変異体(アミノ酸点変異体およびドメイン欠失体)のN端側に蛍光タンパク質を融合させたタンパク質を大腸菌で発現させるベクターを構築した。②14-3-3タンパク質結合配列リン酸化ペプチドを96ウェルプレートの各ウェルに共有結合させた。14-3-3タンパク質結合配列リン酸化ペプチドは、セリン642 をリン酸化したヒトWee1A由来のペプチド配列(CRTSRLIGKKMNRSVpSLTIY; pSはリン酸化セリン)を用いた。リン酸化していないスレオニンを有するペプチドも合成し、結合しない対照として用いることとした。③mVenus-14-3-3タンパク質融合タンパク質発現大腸菌抽出液をリン酸化ペプチドを共有結合した96ウェルプレートに入れ、結合しなかったタンパク質を洗浄後、結合したタンパク質をmVenusの蛍光として定量することができた。種々のアミノ酸点変異体やドメイン欠失体を用いることによって、14-3-3に依存した結合が測定可能であることも検証した。④結合配列リン酸化ペプチドは結合を阻害するはずであり、それを実際に確認し、リン酸化ペプチドへの14-3-3タンパク質結合を測定する系が、14-3-3タンパク質結合の阻害物質探索系としての利用可能なことを証明した。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画のように本年度は探索系を構築することができた。従って研究は順調に進展していると考えている。
24年度に構築した探索系を用いて探索を開始する。阻害剤の候補化合物群は、研究室内にすでに保有済の数千種の精製化合物からなる化合物ライブラリーを利用し、再現性良く結合阻害能をもつ化合物を選び出す。選択された化合物については、他のアッセイ方法(GST融合タンパク質プルダウンアッセイ法など)によっても14-3-3タンパク質を阻害できるかの検討を行う。首尾良く結合阻害を行う化合物が得られた場合には、その化合物を培養細胞系に投与することで14-3-3タンパク質の細胞周期進行における役割を解析する。並行して、平成25年度内まではこのスクリーニングを続け、阻害化合物を選び出す。万一、この間の試みで阻害活性を持つ物質が得られない場合には、スクリーニングを断念する。その場合には、発現精製したGST融合14-3-3タンパク質を用い、14-3-3タンパク質に結合するタンパク質の細胞周期に依存した変動を解析する。具体的には、細胞周期を追って調整した細胞抽出液と発現精製したGST融合14-3-3タンパク質を混ぜた後グルタチオンビーズ上に回収し結合するタンパク質をマススペクトル解析、14-3-3タンパク質の細胞周期進行への役割を解析する。
(消耗品費) プラスチック消耗品 実験用ピペット,チップ類30万円、試薬(分子生物学実験用酵素類など) 30万円、抗体類(市販品および外部業者に発注) 30万円、ガラス器具類(培養用スライドガラスなど) 5万円(国外旅費) 国外学会における成果発表に要する旅費・宿泊費40万円(その他) 学会参加費など本年度の消耗品購入が予定よりやや少なかったため、94,185円を次年度に繰り越し、次年度の消耗品費(試薬)に追加して使用する。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (2件)
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