研究課題
24年度に構築した探索系を用いて結合を阻害する物質の探索を開始した。阻害剤の候補化合物群は研究室にすでに保有している化合物ライブラリーから本年度は約1万の精製化合物を利用した。蛍光タンパク質を用いたアッセイ系で約40の化合物が14-3-3σタンパク質と標的リン酸化ペプチドの結合を50%以上阻害した。そこで、これらの化合物について、HEK293細胞で発現したヒトWEE1タンパク質と14-3-3σタンパク質との結合を阻害する活性によって二次評価を行った。ヒトWEE1タンパク質はGSTタンパク質との融合タンパク質としてHEK293細胞で発現し、その細胞抽出液を、14-3-3σタンパク質を発現させた大腸菌の抽出液と混ぜた後にグルタチオンビーズによってプルダウンし、結合した14-3-3σタンパク質をSDS電気泳動、CBB染色によって定量した。この二次評価系で7つの化合物が終濃度10μMで結合を50%以上阻害した。次にこれらの化合物について他の6種類のヒト14-3-3タンパク質について結合を阻害するか否かの評価を行った。他の6種類のヒト14-3-3タンパク質をコードするcDNAを単離し、大腸菌発現ベクターに導入し、タンパク質の発現を行い上述の14-3-3σと同様の結合評価系を構築した。7つの化合物については、どれも他の14-3-3も同様に阻害することが確認された。しかし、目標とする1μMより低い50%阻害濃度の化合物は現在までのところ得られていない。しかし、探索系は期待通りに機能していることが確認できたので26年度も探索を行いより強い活性を有する物質取得を目指すこととした。
2: おおむね順調に進展している
上述のように、構築した阻害物質探索系を用いて化合物探索を行い期待される化合物が得られてきているので計画は順調に進行していると考えている。
探索系が構築できて期待される活性を有する化合物が得られてきているので、さらに強い活性を有する化合物取得を目指して探索を行う。得られてくる物質を用いて14-3-3タンパク質の細胞周期進行制御に関する役割を解析する研究計画を推進する。
予定していた海外の学会参加が他の業務と重なって参加を諦めたこと、強い活性を有する化合物が得られた場合に計画していた細胞培養系での実験を行うことができなかったことなどにより使用予定していたよりも少ない使用となった。本年度にさらに化合物探索を多く推進することとするため、ハイスループット探索用のプラスチックプレート、ピペットチップなどの消耗品を当初の計画よりも多く使うこととする。このために昨年度の余剰額を使用する。
すべて 2013 その他
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
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