研究課題
27年度には、24年度に構築した探索系を用いて結合を阻害する物質の探索を25・26年度に引き続き実施した。阻害剤の候補化合物群は研究室にすでに保有している化合物ライブラリーから本年度は約1万の精製化合物を利用した。蛍光タンパク質を用いたアッセイ系で約25の化合物が14-3-3タンパク質と標的リン酸化ペプチドの結合を50%以上阻害した。これらについては最低2回の評価を行い、結果の再現を確認している。これらの化合物について、HEK293細胞で発現したヒトWEE1タンパク質と7種の14-3-3タンパク質との結合を阻害する活性によって二次評価を行った。ヒトWEE1タンパク質はHEK293細胞で発現し、その細胞抽出液を、GSTタンパク質との融合タンパク質として14-3-3タンパク質を発現させた大腸菌の抽出液と混ぜた後にグルタチオンビーズによってプルダウンした。結果、1つの化合物については、全ての14-3-3も同様に阻害することが確認された。この結合阻害についてさらに解析を行い、化合物が存在するときにのみ、他の特定のタンパク質との結合をより強めることが明らかになった。すなわち化合物は特定のタンパク質と14-3-3タンパク質の結合を高めることで、他の標的(ここではヒトWEE1タンパク質)との結合を阻害・減少させるといういうしくみが明らかになった。以上、構築した探索系は期待通りに機能し、14-3-3タンパク質の結合を阻害する物質を取得することができた。さらにその阻害メカニズムについても明らかにすることができ、当初の目標を達成できた。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 1件、 査読あり 3件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)
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