DDSにおける新しいセンサーとして、量子ドッドと疎水性ニトロキシラジカルでラベル化した抗がん剤(lomustine)を内包するナノ粒子を2種類開発した。これらの2つの化合物がナノ粒子中に共存する時には、量子ドッドは蛍光を示さないがニトロキシラジカルでラベル化した抗がん剤が放出されることで量子ドッドが蛍光するようになる。今回、我々は2種類のポリマーを基材にしてナノ粒子を作った。 1.量子ドッド・ニトロキシラジカル化合物内包PICsomeだが、ニトロキシラジカル化合物の保持が弱く、薬物送達のキャリアには不適であった。 2.化学修飾を加えたキトサンベースのナノ粒子(120nm)に量子ドッドとニトロキシラジカル化合物を保持した結果、十分な保持に成功した。 このナノ粒子を用いて、担がんマウスを用いて、腫瘍の視覚化・リンパ節のマッピングを行った。腫瘍とリンパ節から、非常に強い量子ドッドの蛍光が確認され、一方肝臓からは弱い信号しか観察できなかった。血中半減期は6±2時間で、腫瘍中には8±2時間、リンパ節には11±3時間残留した。同様の結果はEPRイメージングでも得られている。このような結果から、サイズを制御した血中滞留性の高いポリマーソームはセラノスティクスナノキャリアとして有望であると言える。
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