研究課題
認知症の大半を占めるアルツハイマー病(AD)の治療法は現時点においても確立しておらず、一日も早い治療薬の開発が待たれている。本研究では、タウ蛋白質が蓄積したヒト脳を用いてそれに親和性をもつ化合物のイメージング質量分析創薬スクリーニングシステムを開発し、PET診断用化合物の候補化合物を得た。成果の具体的内容:東京都健康長寿医療センターとの共同研究により、新鮮凍結脳切片のサンプルを入手し、病理学的解析を行った。また、東京大学創薬機構より創薬用低分子化合物ライブラリの代表化合物である9600種を入手し、MALDI-TOF/MS飛行時間型質量分析装置にてプリカーサイオンの解析を行い、PET診断薬候補化合物11種を得た。次段階の質量顕微鏡において効率よく検出するため、ポジティブ対照化合物においてマトリクスの種類及び詳細な分解物イオン検出条件の最適化を行い必要十分な検出感度を得た。同時に、このシステムに必要な凍結切片を自動で高速に作製する装置の開発を行っているが、完成していない。意義・重要性:本研究により、タウに親和性をもつ11種の候補化合物を得た。今後の詳細解析においてタウに直接結合する低分子化合物を得られればこれをリード化合物として、タウを標的とした世界初のPET標識化合物の創成、および治療薬創薬に向けての第一歩となり、たいへん意義深い。今後の発展として、ADだけでなく、パーキンソン病、レビー小体型認知症、ハンチントン病、脊髄小脳失調症、筋萎縮性軸索硬化症、前頭側頭葉変性症などの神経変性疾患や微小癌への標的治療薬等についても本システムでスクリーニングが可能であり、この研究成果により高齢化社会を迎える日本の医療の発展に寄与できると考えられ、将来の日本における重要性も高い。
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Biotechnology & Bioengineering
巻: 112 ページ: 1-28
10.1002/bit.25606
http://www.ncgg.go.jp/department/lrs/robot.html
http://www.ncgg.go.jp/department/lrs/lead01.html