本研究は、絶滅の危機にある琵琶湖の日本在来コイについて、沿岸の水草帯に生み付けられた卵の調査を通して彼らの繁殖生態を知ることを目的とする。放流コイ(大陸から導入された系統)と比べて産卵の時期や場所の違いがあるかを調べるため、長浜市湖北町尾上周辺において4~8月の産卵期に卵を採集し、卵毎にDNAマーカーによる系統判別(在来と導入の判別)を行った。調査を行った4シーズンの結果を総合すると、コイの産卵は、人工的に水位が低く抑えられる6月16日以降(7月や8月)にもかなり行われており、在来系統の卵の割合は、シーズン後半のこの時期に比較的高い傾向が認められた。
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