研究課題/領域番号 |
24510326
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
伊藤 健彦 鳥取大学, 乾燥地研究センター, 助教 (50403374)
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キーワード | 国際研究者交流 / モンゴル / モウコガゼル / 季節移動 / 保全 / 乾燥地 / 衛星追跡 |
研究概要 |
モンゴル南部における鉱山開発や鉄道建設が野生動物の大移動に及ぼす影響を評価することを目的として、対象地域の代表的な長距離移動動物であるモウコガゼルの移動の実態把握と生息適地の評価を進めている。2013年9月にはモンゴル南部ドルノゴビ県において、モウコガゼル9頭の捕獲とGPS+衛星電話システムを搭載した首輪の装着に成功した。これにより、高精度・高頻度での位置情報の取得が可能になり、8頭のデータが順調に蓄積されている。 過去に追跡したモウコガゼルの位置データと環境情報データの解析では、モンゴルの県庁所在地周辺では建築物が連続的に存在している市街地よりも4倍から30倍も離れた地域までモウコガゼルが避けていたことが示唆された。また、その追跡データを用い、モンゴルを対象地としている世界各国の野生動物研究者と共同で、開発が進行中のモンゴル草原の保全の重要性を訴える論文を出版した(Batsaikhan et al. 2014, Conservation Biology)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
野生動物の位置データと環境情報データの収集・整備が順調に進んでいる。 モウコガゼルの生息地選択に影響する要因の解析も進んでおり、総合的に生息適地を推定する手法も計画済みである。
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今後の研究の推進方策 |
今年度9月までで1年間のモウコガゼルの移動データが取得される予定である。そのデータと環境情報データを生息適地推定モデルに組み込み、生息地選択に重要な要因を明らかにするとともに、モウコガゼルの生息適地地図を作成する。モンゴルは季節変化が大きい地域であるため、冬と夏に分けた解析と生息適地地図作成をおこなう。さらに、鉄道や道路により生息地が分断化された場合の生息適地減少率や、冬と夏の生息適地間の連結性の評価をおこなう。 また、現地調査により、リモートセンシングでは評価できない植生の違いや現在の交通量の実態を明らかにし、それらのモウコガゼルへの影響を評価する。
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