研究課題/領域番号 |
24510327
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
斉藤 英俊 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (00294546)
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研究分担者 |
河合 幸一郎 広島大学, 生物圏科学研究科, 教授 (30195028)
海野 徹也 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (70232890)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 釣り餌動物 / 外来種 |
研究実績の概要 |
1)非図的輸入種のリストの作成 平成24~26年の調査において日本各地の小売店で販売されている釣り餌動物として、多毛類、ユムシ類、二枚貝類、甲殻類、および魚類など、少なくとも48種が確認できた。これらの釣り餌動物は、1)国外から輸入されている非在来種(≧6種、2)国外から輸入されている在来種(20種)、3)国内流通されている外来種(5種)、および4)国内流通のみされている在来種(17種)の4タイプに分けられた。また、淡水産テナガエビ科の商品名シラサエビについて広島県東広島市内の釣り具店で周年調査を実施したところ、前年度と同様に11~5月にかけては中国からの輸入物が、5~10月にかけては国内産が流通していることがわかった。 2)在来・非在来個体群の遺伝的集団構造の解明 イワムシのCOⅠ領域について日本産個体および中国産個体を用いて解析した結果、地点間の地理的距離と遺伝的距離には正の相関がみられた。 3)釣り餌動物の生息状況 非在来性の釣り餌動物生息状況を調査したところ、広島県内の河口干潟において、釣り人が投棄したと思われるアオゴカイが採集された。また、広島県内の河川において淡水産テナガエビ科の非在来種であるP.sinensisが採集された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1)非図的輸入種のリストの作成 これまでの調査によって、日本各地の小売店で販売されている釣り餌動物のリストアップをほぼ完了し、このうち≧26種はアジアを中心とする外国からの輸入物を含んでいることを明らかにしている。 2)イワムシのCOⅠ領域について、地点間の地理的距離と遺伝的距離には正の相関があることを明らかにしている。 3)釣り餌動物の生息状況 淡水産テナガエビ科の非在来種であるP.sinensisは、今年度の調査によって広島県内において初めて確認されている。
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今後の研究の推進方策 |
1)非図的輸入種のリストの作成 今後、新たに販売されている種があれば、リストアップする。 2)在来・非在来個体群の遺伝的集団構造の解明 今後、イワムシの形態について、地点間で差があるかどうか精査する必要がある。また、イワムシに近縁なビクニイワムシを野外採集を試み、イワムシ属の生態や遺伝的集団構造の解明に繋げたい。 3)釣り餌動物の生息状況 広島県内外のP.sinensisを引き続き調査し、日本国内における本種の生息状況を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に、イワムシ属多毛類の在来・非在来性個体群の遺伝的集団構造の分析完了を予定していた。イワムシと近縁なビクニイワムシは本属の分類、生態および遺伝子解析に重要な情報をもたらすと考えられていたが、希少種でもあり日本国内では標本入手が困難であった。ところが、所属学会の年次大会で本種の生息に関する有力な情報が得られたので、計画を変更して標本の入手および解析をおこなうこととしたため、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
このため、野外採集、生態・遺伝子解析および学会発表を次年度におこなうこととし、未使用額はその経費に充てることとしたい。
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