研究課題/領域番号 |
24510332
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研究機関 | 東京情報大学 |
研究代表者 |
原 慶太郎 東京情報大学, 総合情報学部, 教授 (20208648)
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研究分担者 |
富田 瑞樹 東京情報大学, 総合情報学部, 准教授 (00397093)
平吹 喜彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (50143045)
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キーワード | 東日本大震災 / 津波 / 海岸エコトーン / 景観生態学 / 自然再生 / エコロジカルネットワーク / リモートセンシング / GIS |
研究概要 |
本研究は、東日本大震災で被災した海岸エコトーンの再生に関して、仙台湾沿岸の平野部を対象地域として、景観生態学における生態系の連結性(connectivity)の観点から、生態系及び生物多様性の保全に結びつくエコロジカル・ネットワークを再構築し、海岸エコトーンの再生の方策を示すことを目的とする。衛星リモートセンシングデータを用いて緑被地を抽出し、GIS(地理情報システム)を用いて緑被地パッチ間の連結性を定量的に評価する。景観生態学的な観点から、再生目標とすべきエコロジカル・ネットワークを抽出し、鳥類の生息状況を指標として、このネットワークの生物多様性保全における有効性を評価し、その結果を当地の震災復興における、生態系及び生物多様性保全の施策とし具体的に提示する。 平成25年度は、平成24年度の成果に基づいて、震災前後の衛星データ(SPOT/HRG-2: 2010/10/02,2011/11/02)を用いて景観構造の変化を明らかにし、とくに残存した森林パッチに注目して、現地調査と併せて抽出精度を高める検討を進めた。残存樹林パッチの連結性を評価するために、形態学的空間パターン解析 (Morphological Spatial Pattern Analysis: MSPA) の手法によって震災前後の分布パターンを解析した。(趙・富田・原)。また、残存した海岸林、屋敷林や社寺林における林冠木や実生・稚樹の種組成を明らかにするとともに、海浜の後浜・砂丘・後背湿地の各立地で、植生調査と樹木実生センサスを実施した(富田・平吹)。鳥類の調査は残存樹林地及び湿地、水田域などにおいて実施した(平泉)。これらの解析によって、再生すべき目標景観の設定が可能となり、緑被地パッチ相互の連結性を量的に評価することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はほぼ計画どおりに進捗している。研究の核となる衛星データ(SPOT/HRG-2)を用いた土地被覆の解析は、現地でのグランドトゥルースを踏まえ、高い精度で実施できた。抽出した残存樹林地の連結性の評価に関しては、幾つか手法を検討した結果、形態学的空間パターン解析 (Morphological Spatial Pattern Analysis: MSPA)が適していると判断して適用し、この結果求める成果を示すことができた。鳥類の調査は、2季に亘って実施し、当該地域の生息状況を把握することができた。樹林域を生息地とする鳥類を選択し、残存樹林のサイズと連結性の関連性に関して解析を進める。 平成24,25年度までに、学会誌への掲載が6編(内査読付 4編)、学会発表が23件(内招待講演1件)の成果発表を行なった。2013年10月には仙台で開催された植生学会で公開シンポジウムを企画・運営し、本研究課題にかかわる講演も実施した。平成24年12月と平成26年1月には仙台で海岸エコトーンフォーラムを開催するなど、成果の公開に努めている。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、2年間の成果を踏まえ、主として森林性鳥類を指標とした残存樹林パッチの連結性の評価をもとに、コアとなるソース生息地と微少な樹林地であるシンク生息地との空間的配置関係や保全の重要度を地図上に示し、仙台平野の被災地における生物多様性保全の観点からエコロジカル・ネットワークを示す。そのために、残存樹林の連結性の評価結果と、森林を生息域とする鳥類の分布状況をオーバーレイ解析するなどして、残存樹林の分布状況と鳥類の生息状況との関係を明らかにし、鳥類の生息地として定量的評価を進める。また、南蒲生モニタリングサイトの残存マツ林のモニタリング調査を継続し、出現植物の消長から鳥散布による新たな植物の移入など、今後の保全・維持管理に必要な知見を収集する。 当初の計画以上に、当該地域の復旧事業が進み、海浜近くの残存樹林の多くは、除伐の後、盛り土されてマツなどの植林による海岸林の造成が進んでいる。また、屋敷林の浸水した箇所では、スギが枯死するなどして、樹林そのものの消滅や構成樹種の単純化が認められる。しかし、貞山堀周辺のマツ林が17世紀から続く文化的景観であることを重視し、研究の成果である樹林地の連結性評価をもとにした生物多様性を保全する観点から、被災した海岸林と屋敷林などの樹林地をどのように再生・復元すべきかを、景観生態学の知見をもとに、景観再生という枠組みで提示する。 これらの成果を最終報告書にまとめるとともに、公開フォーラムで一般に公表するとともに、関連学会等で発表、まとまり次第、学会誌に投稿する。
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次年度の研究費の使用計画 |
予定通りの執行であり、次年度使用額は端数である。 最終年度である平成26年度にすべて執行する。
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