研究課題/領域番号 |
24510333
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研究機関 | 東京農業大学 |
研究代表者 |
小島 弘昭 東京農業大学, 農学部, 教授 (80332849)
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研究分担者 |
荒谷 邦雄 九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 教授 (10263138)
吉冨 博之 愛媛大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10542665)
野村 周平 独立行政法人国立科学博物館, その他部局等, その他 (80228361)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 昆虫資源 / 分類学 / 生物多様性 / 保全生物学 / 系統生物地理 / 分子系統解析 |
研究実績の概要 |
1.伊豆諸島の甲虫相の実態把握:とくに調査研究が遅れていた以下の分類群について,集中的な調査を行い各分類群の解明度を飛躍的に高めた.ゾウムシ類を中心とした植食性甲虫相の調査研究では,計7科201種のゾウムシ上科甲虫を確認し,既存の記録の倍の種数となった.土壌性甲虫相(おもにアリヅカムシ亜科)は調査開始の時点では7種の記録があるに過ぎなかったが,本調査の結果,計27種が確認された.また,水生甲虫相は,計12科40種の分布を確認したが,伊豆諸島は海洋島であるため水辺環境が貧弱で,他の水生昆虫同様,水生甲虫相も貧弱であった.
2.伊豆諸島で遺存固有と考えられていた分類群について:ハチジョウノコギリクワガタ(八丈島固有),ミクラミヤマクワガタ(神津島,御蔵島),ハチジョウヒメカタゾウムシ(三宅島,御蔵島,八丈島)について分子系統解析を行い,それらの起源等について検討した.その結果,ハチジョウノコギリクワガタは他の伊豆諸島産や本土産の種に,ミクラミヤマクワガタは中国南部に分布するミヤマクワガタ類と遺伝的な大差がなく,極近縁な種で,比較的最近伊豆諸島に侵入した可能性が高いことが明らかとなった.さらに,ハチジョウヒメカタゾウムシについては,伊豆半島南西部にも同種と思われる個体群が見つかり,どちらの地域においてもスギやヒノキの植林地のみで見つかることから,伊豆諸島へは人為的に持込まれた可能性が高いことが示唆された.このような結果から判断し,伊豆諸島に分布する固有種(亜種)は起源的に新しいものである可能性が高いことが明らかとなってきた.
3.伊豆諸島のホットスポットについて:既存の記録に今回の調査結果を加え,伊豆諸島各島の種数,伊豆固有種(亜種)数の多さから,南伊豆諸島では御蔵島が,北伊豆諸島では利島が甲虫相から見た伊豆諸島のホットスポットとなる可能性が高いことが示唆された.
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