糞分析によって,ミヤコザサのある森林内ではササ類を,ドライブウェイ沿いではササ類以外の単子葉類を主に採食していた.シカの個体数は,植物現存量と有意な関係があったが,栄養的には植物の含む繊維量が最も重要であり,カロリーや粗タンパク質の量とは関係がなかった。この結果は,シカのルーメン胃内の微生物共生による採食特性と関係づけられた。一方で,脂肪分の多い広葉樹草本や落ち葉はシカの餌としては好まれないことが分かった。ドライブウェイの法面や路傍に生育するササ以外の単子葉類草本もシカの重要な餌資源となっていたことから,シカの個体数管理においては林内だけでなく林外の植生管理が必要である。
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