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2012 年度 実施状況報告書

スペインにおける「少数言語」の対外普及に関する言語政策論的比較研究

研究課題

研究課題/領域番号 24510340
研究種目

基盤研究(C)

研究機関名古屋工業大学

研究代表者

萩尾 生  名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (10508419)

研究分担者 長谷川 信弥  大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (20228448)
塚原 信行  京都大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (20405153)
柿原 武史  南山大学, 外国語学部, 准教授 (10454927)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2015-03-31
キーワード言語政策 / 少数言語 / 対外言語普及 / 文化外交 / スペイン / バスク / カタルーニャ / ガリシア
研究概要

初年度は、①言語・文化の対外普及に関する中央政府と自治州政府の間の権限分掌の法理と運用の実態、②スペイン国内の対外言語普及機関が設置された経緯、の2点に関連して、一次資料の収集ならびに関係者に対する聴取を、現地を訪問して実施した。具体的には、セルバンテス協会(スペイン語)、エチェパレ・インスティテュート等(バスク語)、ラモン・リュイ・インスティテュート等(カタルーニャ語)、ガリシア自治州政府言語政策局等(ガリシア語)、に対するインタヴューを実施した。また、各自治州議会図書館等において、関係法令成立に至る経緯の調査を遂行した。
①については、現行の1978年スペイン憲法が国家の専管事項として規定する「国際関係」が、相手国の承認を要する条約や協定などを想定しているのに対し、そうした相手方の承認を必ずしも要しない「対外活動」は各自治州独自による独自の運用が可能だとした、スペイン憲法裁判所の1994年5月26日付け判例165号以来、自治州政府が主導する対外言語文化普及政策は、「対外活動」の範疇において施行されていることがわかった。
②について特筆すべきは、(a)エチェパレが法レベルで設置が規定される私法上の公共的団体であるのに対し、ラモン・リュイは行政上の規則レベルで規定されるコンソーシアムであること、(b)文化の対外普及について、ラモン・リュイは自治州のスペイン語によるカタルーニャ文化の対外普及を支援しないが、エチェパレはスペイン語によるバスク文化の対外普及を支援すること、(c)セルバンテス協会は当初スペイン語の対外普及を使命としていたが、後にバスク語、カタルーニャ語、ガリシア語を含む「多言語主義」の普及に着手したこと、(d)ガリシアでは、ポルトガル語との関連性を強調する形でガリシア語の対外普及機関の設置が企図されたが、近年の財政悪化により計画が頓挫したこと、等である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

初年度には、当初予定どおり関係機関を訪問し、実地に聴き取り調査を行うことができた。事前に約束を文書で取り交わし、直前に再確認を行っていたにもかかわらず、約束当日に当人がいなかったり、途上の空港で悪天候のため足止めされ、当初の日時を急遽変更せざるを得なくなったり、若干のハプニングがあったものの、代理人の対応などでなんとかフォローすることができた。
また、当初予定どおり、年度末にメンバー全員が集まって、各自の現地調査報告を行った。相互の事例の比較参照を通して、疑問点と論点の整理を行うことにより、次年度以降の研究の方向性の照準をより的確に定めることができた。

今後の研究の推進方策

次年度の方針は、以下のとおり4つを計画している。
①今年度各自が実施した聴き取り調査と、他の研究分担者からの報告を通して生じた疑問点の解決へ向けて、現地訪問による再調査。とくに注意したいのは、セルバンテス協会については、スペイン語支援から多言語主義支援への言説の変化。エチェパレ・インスティテュートについては、同様の活動を実施しているHABEという団体との関連性。ラモン・リュイ・インスティテュートについては、設置根拠の再確認及び対外普及の意図、またバレアレス諸島自治州のスタンス。ガリシアについては、頓挫した対外言語普及機関設置計画の精査。
②バスク語とカタルーニャ語については、それらの言語が域内で話されていながら、具体的な対外普及政策が採られていない、スペイン国内の自治州政府の言説を確認するため聴き取り調査を実施。具体的にはナバーラ自治州政府とバレンシア自治州政府(及びバレアレス諸島自治州政府)を訪問。
③言語文化の対外普及政策の現場の事例として、東京のセルバンテス協会、ラモン・リュイ・インスティテュートの「冠講座」を開講している法政大学を訪問し、比較参照。
④対外言語普及機関の活動における「民族性」と「領域性」を分析するとともに相互比較を行い、スペインの少数言語の対外普及機関/政策の将来展望を考察。
以上の①から④の結果を年末から年度末に持ち寄って協議し、最終年度に予定している成果発表の準備に向けた論点整理を行う予定である。

次年度の研究費の使用計画

研究費のほぼ全額が、旅費に充当される。旅費の内訳は、外国旅費と内国旅費に区分され、用途は、上記の「今後の研究の推進方策」に明記したとおり、国内外の関係者に対する聴き取り調査ならびに、研究代表者と研究分担者との間の打合せを遂行するためのものである。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] ガリシア語の対外普及政策について 地域語を域外に広めようとする理由について考える

    • 著者名/発表者名
      柿原武史
    • 学会等名
      多言語化現象研究会
    • 発表場所
      大阪大学豊中キャンパス言語文化研究科

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公開日: 2014-07-24  

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