急激に変容するアフリカ社会における女性のライフコースの多様化の動態を東アフリカの牧畜民サンブルを事例に解明した。ライフコースの個別事例を収集し、世代ごとに分析した結果「スルメレイ(既割礼・未婚)」という、従来は特別な事情(身体・精神障害などのために結婚が遅れた等)のものとに仕方なく選択されていたステイタスをえらぶ女性が過去30年間に急増していることが明らかになった。人びとはスルメレイという既存の、しかし、例外的な年齢範疇のイメージや意味を変更しながら利用することで、「伝統的」な規範のもとでは逸脱とみられるような、未婚期の出産、恋愛結婚、生涯独身として生きるといった多様な選択を可能にしていた。
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